【和田彩花のカイエ・ド・あーと】第11回 フェルメール《窓辺で手紙を読む女》

フェルメール《窓辺で手紙を読む女》

美術に興味を持ち、時間を見つけては美術館に通い始めていた高校生の頃、私が一番好きだった絵画のジャンルは、オランダの絵画でした。

フェルメールの作品を展示で見る機会が多かったのはもちろん、西洋絵画に興味はあったけど、キリスト教文化に触れずに育った私にとっては、日常の生活を描いた作品が印象的なフェルメールの画面は見やすかったのだと思います。歳を重ね、モダンアートへの関心がはっきりとしてからは少し距離ができてしまったフェルメールについて改めて接してみる機会にしたいと思います。

現在、東京都美術館で開催中の「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」(今後、北海道、大阪、宮城へ巡回)では、《窓辺で手紙を読む女》が修復後、所蔵館以外で世界初公開されています。

今回は、そんな《窓辺で手紙を読む女》の修復前と修復後を比較してみます。

ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》(修復前)
【修復前】
ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女》(修復前) 
1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館
© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, 
Photo by Herbert Boswank (2015)
ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》(修復後)
【修復後】
ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》(修復後)
1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館
© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, 
Photo by Wolfgang Kreische

修復前の《窓辺で手紙を読む女》では、画面向かって左の窓から入った光が、手前右のカーテンにあたり、手紙を読む女の背後の壁に光が広がります。画面全体は、柔らかい光に包まれた印象を受けます。

修復後の《窓辺で手紙を読む女》では、まず手紙を読む女の背後にキューピッドが描かれた画中画が姿を現す点が大きな変化です。この画中画のキューピッドが暗示するものや、修復過程などについてはぜひ展覧会で確認してみてください。

手紙を読む女の背後に画中画が現れることで、光の印象が修復前とは異なっていると感じました。

褐色で描かれたキューピッドの画中画は、画面全体の明暗でいうと、暗を担い、画中画のすぐ下、手紙を読む女の背後の明るい箇所とのコントラストができることで、修復前よりも光の強弱が見えてくるようになりました。

日常生活を描いた作品で有名なフェルメールですが、日常を単に映し取っただけではない画面の構成力と、とはいってもけして劇的な物語に仕上げることはない、絶妙な感覚が素敵な画家でもあるのだなと改めて気づくこととなりました。

修復によって、画面全体の色彩がクリアになった印象も受けるので、ぜひ展覧会で修復後のフェルメールを堪能してみてくださいね。

<ココで会える>
「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」は、東京都美術館で4月3日まで開催。フェルメール《窓辺で手紙を読む女》を修復後、所蔵館以外で世界初公開するほか、ドレスデン国立古典絵画館が誇るレンブラント、メツー、ファン・ライスダールといった17世紀オランダを代表する画家たちの名品約70点を展示。なお、チケットは日時指定予約制。
その後、北海道立近代美術館、大阪市立美術館、宮城県美術館へ巡回する。詳細は展覧会公式サイトへ。
展覧会公式サイト

和田彩花
和田彩花1994年8月1日生まれ、群馬県出身。アイドル。2009年4月アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。2010年5月「夢見る15歳」でメジャーデビューを果たし、同年「第52回日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。2019年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術に強い関心を寄せる。
初のソロアルバム「私的礼讃」が好評配信中!

公式サイト
公式Twitter
公式Instagram


連載の一覧はこちら

直前の記事

【探訪】名刀に凝縮する歴史と物語ー「ボストン美術館 THE HEROES」展 小説家・永井紗耶子さん

歴史を彩った武士たちゆかりの絵画、刀、鐔が織りなす豊かなストーリーを味わう「ボストン美術館 THE HEROES」展。時代小説の俊英として注目の永井紗耶子さんに、この展覧会の見どころを寄稿してもらいました。 美術から見る

続きを読む
新着情報一覧へ戻る