【夢眠ナビ】最終回 THE 芸術家、ピカソ

THE 芸術家、ピカソ

夢眠ナビもついに最終回!
やっぱり最後はピカソに締めていただきましょう。

へたっぴな絵を見て「ピカソみたい」と評する人がいる。

それに対していつも「はあ!?ピカソのデッサン見たことある?!
15歳の時の油絵見たことあるぅ~?!?」とギャンついてしまっていたけれど、
それほどピカソの作品が美術に興味がない層にも知られているということである。
子供の絵みたいだと評する人もいるが、ピカソは「ようやく子供のような絵を描けるようになった。ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ」という言葉を残している。

パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・チプリアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ。
※諸説あり

父親のホセは美術教師で、幼少期からストイックにドローイングを叩き込まれたピカソは、めきめき神童っぷりを開花させる。
先述した“15歳の時の絵画”は、《科学と慈愛》という作品で、まさに彼の才能を思い知るには十分すぎるものである。

パブロ・ピカソ《科学と慈愛》
パブロ・ピカソ《科学と慈愛》1897年
ピカソ美術館(バルセロナ)蔵
© 2021 - Succession Pablo Picasso - BCF(JAPAN)
写真提供 ユニフォトプレス

ピカソは同じ技法で描き続けることはなく、どんどん作風を変えていく。
暗く、ひたひたと冷たい印象の「青の時代」や、少しずつ赤い絵の具を取り入れ始めた「バラ色の時代」などが代表的な「○○の時代」の時期。
そして、セザンヌが最初といわれる「他視点」をもとにジョルジュ・ブラックと共に「キュビズム」を編み出し、《ゲルニカ》や《泣く女》など世界を代表する作品が次々と生まれていった。

教えてもらった、大好きなエピソードがある。
ある日、ピカソは絵を頼まれ、30秒で描きあげ、「100万ドルです」と言い渡した。
すると依頼者は、「この小さな絵を描くのにたった30秒しかかかってないのに」と驚くと、
ピカソは「30年と30秒だ」と答えた……というもの。

し、痺れる、カッコ良すぎる~!

美術作品だけでなく、全てのものに通ずるかもしれないが、
ここにあるものがどう作られ、どう価値づけされているか、わかりづらいことが多々ある。
私なんかはどう伝えるのがいいか、あれこれ悩んで無粋な言葉で固めてしまいがちなのだが、こんなにシンプルに価値の話ができるピカソは、ずっと本質を見つめていたのだな…と感服してしまうエピソードである。

人生の最後まで絵を描きまくり(ここに書ききれなかった超スキャンダラスな彼の人生も含めて)、芸術家を全うしたピカソ。
なかなか「ピカソみたい」にはなれないが、私たちに超人的な想像力を見せてくれる彼のパワーをもらいに、一度は本物の作品を観に、ぜひ美術館に足を運んでみてほしい。

《「夢眠ナビ」は今回で終了となります。ご愛読ありがとうございました!》

 

<夢眠メモ>
《科学と慈愛》は、スペイン・バルセロナにあるピカソ美術館所蔵。約3,800点のピカソ作品を所蔵している。日本では、国立西洋美術館(現在休館中)や東京国立近代美術館、アーティゾン美術館、ポーラ美術館などで、ピカソの名作に出会うことができる。


夢眠ねむ(ユメミ ネム)
書店店主/キャラクタープロデューサー
多摩美術大学卒業
10年間続けたアイドル活動を引退後、本好きのためではなくこれからの本好きを育てる「夢眠書店」を下北沢で開業。書店経営と並行してミントグリーンのたぬき「たぬきゅん」と、その仲間たちのプロデュースを手掛けている。映像監督、作詞、パレード脚本、コラム執筆、キャラクターデザインなど活動は多岐に渡る。

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