【夢眠ナビ】第1回 美術館に行っていますか?

美術館に行っていますか?

私は全然行けていません。
元々は「美術館巡りが趣味です!」と言えるくらい行っていたはずなんです。
でも……近年は行きたい気持ちもあるけれど、灼熱の中ズドーンと長蛇の列なんて正直並んでられない。一人で行くからトイレに行きたくなったらどうしようと考え出したらキリがない。こんなことを言っていたら美術展ナビさんに怒られてしまうかも……ですが、そんな「ちょっと美術館から足が遠のいてる勢」にも楽しんでいただけるような、そしてまた(私も含めて!)美術館に行くきっかけになるような連載にしたいです。
美術館に行ったことないよという方も、ぜひお付き合いくださいませ。

青いシャガールの記憶

好きな画家は?と聞かれて数名思いつく中で、自分でもなぜ好きなのか理由がわからない画家がいる。
ただただ惹かれる、それが「シャガール」、マルク・シャガールだ。
どれくらい好きかというと、一度リトグラフを買いかけた。中学生くらいの頃なのでどの絵が欲しかったのか忘れてしまったけれど、確か青っぽい絵だった、と思う。

シャガールと聞くと必ず青い絵を思い浮かべるけれど、実はそんなに青くない。
そこそこ黄色いし、まあまあ赤い。
なんで青いと決めつけていたんだろうとよくよく考えると、JITTERIN’JINNの「プレゼント」という曲で「シャガールみたいな青い夜」と歌っているからではないかと行き着いた。さだまさしの超名曲「青の季節」の冒頭にも「シャガールの五枚のステンドグラスの青」という歌詞が出てくる。

マルク・シャガール《私と村》 1911年 ニューヨーク近代美術館蔵 写真提供 ユニフォトプレス
マルク・シャガール《私と村》
1911年 ニューヨーク近代美術館蔵
写真提供 ユニフォトプレス
© ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2020, Chagall® E3887

全部が全部青くはないけれど、彼の青は印象的である。
《私と村》は赤と緑が割合としては多いけれど、グッと目を引かれるのは青。
男と見つめ合うロバ?ヤギ?の無垢で清らかな佇まい、瑞々しい命。
それらが鮮やかな青に宿っている。
見つめ合う1人と1匹の信頼関係にきゅんとする。

《花咲ける羽毛》も好きな絵で、これまたロバ?と鶏。
彼が描く動物は人間のような目をしているからか、感情がたっぷり読みとれる。
ロバからはにょろりとこれまた人間のような足。たっぷりと花や葉が咲き乱れる青い雄鶏は、にょろりロバと目があってしまって内心困っているけれど凛と振る舞っているよう。優雅さ、気高さすら感じる。

《記念日の花》《彼女をめぐって》《農夫と花束》……あれ、やっぱり青いかも?
《青いサーカス》なんてめちゃくちゃ青い。
愛と憂に満ちた青をシャガールで感じましょう。

 

次回は「シャガールを着たい」です。


夢眠ねむ(ユメミ ネム)
書店店主/キャラクタープロデューサー
多摩美術大学卒業
10年間続けたアイドル活動を引退後、本好きのためではなくこれからの本好きを育てる「夢眠書店」を下北沢で開業。書店経営と並行してミントグリーンのたぬき「たぬきゅん」と、その仲間たちのプロデュースを手掛けている。映像監督、作詞、パレード脚本、コラム執筆、キャラクターデザインなど活動は多岐に渡る。

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