ミュウツーに似た鋭い目つき? 東洲斎写楽の《3代目大谷鬼次の江戸兵衛》【「ポケモン」で読み解く、話題の1点!】最終回

東洲斎写楽「3代目大谷鬼次の江戸兵衛」 江戸時代/寛政6年(1794)5月、大判錦絵 シカゴ美術館蔵 Photography © The Art Institution of Chicago / Image source : Art Resource, NY 通期展示

 

6月より連載を続けてきた『ポケモンで読み解く、話題の1点』も、いよいよ今回が最終回。最後に登場するのは、『ポケットモンスター 赤・緑』でも最後にプレイヤーを待ち受けていた“最強のポケモン”ミュウツーです。

実は、先日訪れた江戸東京博物館の“大浮世絵展”で、思わずミュウツーを連想してしまうような浮世絵に出逢いました。その浮世絵とは、《3代目大谷鬼次の江戸兵衛》。

睨みつけるような鋭い目つき。素早くわざを放つかのような手。思わずミュウツーを思い出してしまいます。

作者は、東洲斎写楽。フジ博士・・・ではなく、江戸出版界の名プロデューサー蔦屋重三郎が生み出した謎多き浮世絵師です。その活動期間は、わずか10ヶ月ほど。役者の顔と表情をデフォルメしたその斬新で刺激的な画風は、当時の人々の間で、賛否両論を巻き起こしました(どちらかと言えば、否が多かったよう)。

さてさて、3代目大谷鬼次が演じる江戸兵衛なる人物は、かなり悪いヤツ。彼は今、目の前にいる人間から大金を奪い取ろうとしています。「たたかいで ちからを さいだいげんに だせるように ふだんは すこしも うごかず エネルギーをためている。」ミュウツーのように、エネルギーを溜め、これから一気に飛び掛かるところなのでしょうか。

ところで、ミュウツーは、「いでんしそうさに よって つくられた ポケモン。にんげんの かがくりょくで からだは つくれても やさしい こころを つくることは できなかった。」だそうです。確かに、科学力では“優しい心”は作れないかもしれません。

しかし、美術館を訪れて、たくさんの素敵な名画に出逢えば、豊かな気持ちになり、自然と“優しい心”が生まれることでしょう。是非、いろんな展覧会に足を運んでみてください。

(アートテラー・とに~)

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▽この作品を鑑賞できる美術展はこちら
大浮世絵展 歌磨、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演

江戸東京博物館 2019年11月19日~2020年1月19日

「浮世絵/Ukiyo-e」の歴史の中でも、キラ星のごとく輝いた人気絵師である喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の五人にフォーカスし、海外にあるアメリカのメトロポリタン美術館、ボストン美術館、シカゴ美術館、ミネアポリス美術館、ヨーロッパの大英博物館、ギメ東洋美術館、ベルギー王立美術歴史博物館をはじめ、国内所在を含めた傑作、約260点を集めました。歌麿は美人画、写楽は役者絵、北斎と広重は風景画と花鳥画、国芳は武者絵と戯画という絵師のエッセンスを凝縮した内容は、「誰もが知っており、そして誰もが見たい」ものになっています。

過去の「『ポケモン』で読み解く、話題の1点!」はこちら

 

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アートテラー・とに~

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。
美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。
アートブログ https://ameblo.jp/artony/
《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)

 

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