芦ノ湖にギャラドスはいないけれども… 歌川広重のシリーズ作!【「ポケモン」で読み解く、話題の1点!】第11回

 

歌川広重「東海道五拾三次之内 箱根 湖水図」天保5-7年(1834-36)頃、大判錦絵、東京都江戸東京博物館蔵 展示期間:11月19日~12月15日(東京会場)

 

保永堂という版元(今で言う出版社)から刊行された歌川広重の《東海道五拾三次之内》。江戸時代もっとも主要であった東海道に置かれた53の宿場にくわえて、起点の日本橋と終点の京都を描いたシリーズ作です。

そんな《東海道五拾三次之内》は、発売されるやいなや、爆発的に大ヒット!二匹目のドジョウを狙えとばかりに、他の版元も競うように、「東海道絵」を刊行したのだとか。広重自身も、現在確認されているだけで、なんと20種類以上の「東海道絵」を発表しているそうです。

 

《東海道五拾三次之内》全55図の中でとりわけ人気が高いのが、東海道随一の難所とされる箱根越えの様子を描いたこちらの一枚。大名行列の一行が、“天下の険”と呼ばれる急峻な山々の間を縫うように進んでいます。この先、彼らに待ち構えているのは、箱根の関所。平和な世の中を目指した徳川幕府が、全国の大名たちが攻めてきて戦争になるのを防ぐために設けた、いわば防御の拠点です。

こんな言い伝えがあります。「むかし いくさに なるたびに ギャラドスが あらわれ あちこちを ひのうみに していった という。」  箱根関所が無かった時代は、このあたりも戦が多かったのでしょうか。

ちなみに、この絵に描かれているのは怒りの湖ではなく、芦ノ湖。さすがに、野生のギャラドスは生息していませんが、遠い昔、芦ノ湖には9つの頭を持つ毒龍が生息していたそうですよ。

(アートテラー・とに~)

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▽この作品を鑑賞できる美術展はこちら
大浮世絵展 歌磨、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演

江戸東京博物館 2019年11月19日~2020年1月19日

「浮世絵/Ukiyo-e」の歴史の中でも、キラ星のごとく輝いた人気絵師である喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の五人にフォーカスし、海外にあるアメリカのメトロポリタン美術館、ボストン美術館、シカゴ美術館、ミネアポリス美術館、ヨーロッパの大英博物館、ギメ東洋美術館、ベルギー王立美術歴史博物館をはじめ、国内所在を含めた傑作、約260点を集めました。歌麿は美人画、写楽は役者絵、北斎と広重は風景画と花鳥画、国芳は武者絵と戯画という絵師のエッセンスを凝縮した内容は、「誰もが知っており、そして誰もが見たい」ものになっています。

過去の「『ポケモン』で読み解く、話題の1点!」はこちら

 

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アートテラー・とに~

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。
美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。
アートブログ https://ameblo.jp/artony/
《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)

 

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