ギャロップも駆け出す!?シスレー が描いた穏やかな風景【「ポケモン」で読み解く、話題の1点!】第10回

 

1875年 オランジュリー美術館蔵 Photo 🄫 RMN-Grand Palais (musée de l’Orangerie) / Thierry Le Mage / distributed by AMF

 

フランス生まれのイギリス人画家、アルフレッド・シスレー。その生涯で残した作品の大多数は、パリの周辺の景色をモチーフにした穏やかな風景画です。あまりにも穏やかな画風であるため、ルノワールやモネといった他の印象派の画家たちの陰に隠れている感は否定できないですが、ある時、マティスがピサロに「典型的な印象派の画家は誰か?」と尋ねると、ピサロは「シスレーだ」と答えたのだそう。ルノワールやモネら多くの印象派の画家が、のちに印象派のスタイルを離れていく中で、シスレーは晩年まで、印象派のスタイルにこだわったのです。

 

さて、オランジュリー美術館が所蔵する《モンビュイソンからルヴシエンヌへの道》は、そんなシスレーらしさが溢れた典型的な一枚といえましょう。日差しが強くもなく、ポカポカとした陽気が感じられる空。人々や馬車がのんびりと道を行き交う様子。そして、なだらかな丘の向こうまで続いている一面の野原。眺めているだけで、穏やかな気持ちになれる作品です。

もしも、あの野原をギャロップが駆け回っていたなら・・・でも「いつもは のんびり のはらを かけまわっているが ひとたび ほんきを だすと たてがみの ほのおが もえあがり じそく240キロで はしりだす。」ギャロップ、本気をだすと穏やかではなさそうですね。

ちなみに、ギャロップは「ぜんりょくで かけぬけるとき もえる たてがみが きらめいて よりいっそう うつくしく みえる。」そうですが、この作品の中央の青い部分、“きらめいて よりいっそう うつくしく 見える”セーヌ川にも負けない美しさかもしれません。

(アートテラー・とに~)

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▽この作品を鑑賞できる美術展はこちら
横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち

横浜美術館 開催中〜2020年1月13日(月・祝)

横浜美術館開館30周年を記念して開催される本展は、オランジュリー美術館が所蔵する146点の絵画群のうち13人の画家による69点が、21年ぶりにまとまって来日する貴重な機会です。画商ポール・ギヨームが基礎を築いた同館所蔵の印象派とエコール・ド・パリの作品群は、ルノワールの傑作《ピアノを弾く少女たち》をはじめ、マティス、ピカソ、モディリアーニらによる名作がそろったヨーロッパ屈指の絵画コレクションといえます。コレクションに秘められた物語とともに、世界中の人々に愛され続ける名品の数々をご堪能ください。

過去の「『ポケモン』で読み解く、話題の1点!」はこちら

 

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アートテラー・とに~

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。
美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。
アートブログ https://ameblo.jp/artony/
《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)

 

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