グスタフ・クリムト《旧ブルク劇場の観客席》【「ポケモン」で読み解く、話題の1点!】第2回

 グスタフ・クリムト《旧ブルク劇場の観客席》

1888年 ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

 

ウィーン・モダン展の会場冒頭に、女帝マリア・テレジアの巨大な肖像画が掲げられています。その彼女が、宮廷劇場として創設したのが、ブルク劇場。モーツァルトの『フィガロの結婚』やベートーヴェンの交響曲第1番が初演されたことでも知られるヨーロッパを代表する劇場の一つです。

1888年。そんな歴史あるブルク劇場の建物が取り壊され、新たな建物が建設されることとなりました。その際に、旧ブルク劇場の内装を記録として描き残すため、ウィーン市議会は、クリムトに水彩画の制作を依頼します。このとき、クリムトはわずか26歳だったそうです。

さて、特徴的なのは、その構図。観客席からステージを眺めるのではなく、ステージ側から観客席を描いています。観客席はそろそろ埋まる様子。上演時間は間もなくのようです。これから一体どんな演目が始まるのでしょうか? 演劇? オペラ? オーケストラ? もしかしたら、12オクターブを超える声域を持つプリンのコンサートと思われた方もいるかもしれません。ずかんによれば、「おおきく おなかを ふくらませて ふしぎな メロディーを うたう。 きくと すぐに ねむくなるぞ。」とのこと。ここにいる観客全員が眠ってしまう光景を想像すると、ちょっと面白いですね。

ちなみに、この絵を鑑賞する際は、是非プリンのように目を大きくして、隅々までご覧くださいませ。観客席に座る当時のセレブたちの顔が一人一人、実に緻密に描き分けられています。画家クリムトの実力がいかんなく発揮された一枚です。

 

(アートテラー・とに~)

 

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▽この作品を鑑賞できる美術展はこちら
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

【東京展】~201985日(月) 国立新美術館
【大阪展】2019827日(火)~128日(日) 国立国際美術館

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンを舞台に花開いた世紀末文化を紐解く展覧会です。クリムト、シーレ、ココシュカといった巨匠たちの絵画や工芸はもちろん、建築、デザイン、インテリア、ファッション、グラフィックデザインなど、当時の写真や資料、本展のために特別制作したウィーン市の都市変遷映像など、“芸術の都”ウィーンで育まれた芸術世界を網羅的にご紹介します。

 

過去の「『ポケモン』で読み解く、話題の1点!」はこちら

 

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アートテラー・とに~

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。
美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。
アートブログ https://ameblo.jp/artony/
《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)

 

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