【アートテラー・とに~の今月コレを見逃しちゃいけま展!】この夏、子どもと一緒に行きたい展覧会トップ3

夏休みシーズン到来! 子どもにとっては、まさに夢のような1か月ですが、ママさんパパさんにとっては、大変な1か月。毎日お昼ご飯を用意したり、時には遊びに連れて行ったり、そして、月末には終わらなかった宿題を手伝ったりと、てんやわんやなことでしょう。そこで、今回は、そんなママさんパパさんの少しでもお役に立つべく、「この夏、子どもと一緒に行きたい展覧会トップ3」をお届けいたします。毎年この時期は、子どもも楽しめる展覧会が多く開催されますが、今年は特に当たり年! その中から厳選に厳選を重ねた、楽しく、かつタメになる展覧会ばかりをご紹介いたします。
お盆に孫が遊びにやってくる。そんなおばあちゃんおじいちゃんも、是非ご参考にして頂けましたら幸いです。

その1 平塚市美術館「金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋」(7/79/2

金魚をテーマに制作を続けて18年、「金魚絵師」こと深堀隆介さん(1978~)の公立美術館では初となる展覧会です。初期の作品から最新作まで、出展作品は約200点! 一部例外はありますが、基本的にはすべての作品が、金魚をモチーフとしています。展覧会場を優雅にゆらゆらと泳ぎ回る金魚たち。目にも涼しげで、夏にピッタリ。この夏の大切な想い出になること間違いなしの展覧会です。

 

《金魚酒 伽琳》2016年_個人蔵

ところで、こちらの枡の中で金魚が泳いでいる作品。一見するとフィギュアのような立体作品に思えますが、実は、立体にあらず。なんとアクリル絵具で描かれた絵なのです。えっ、どういうこと?! まず、枡の中に透明樹脂を流し込み、固まったところで、金魚の一部を描くのだそうです。そして、その上からまた透明樹脂を流し込み、固まったら、金魚の一部を描くのだとか(以下、繰り返し)。それらがレイヤーになることで、まるで金魚が本当に泳いでいるかのような作品が誕生するのだそうです。本当に、そうなっているのかは、皆様ご自身の目でご確認を。
ちなみに、小中学生は観覧料金が無料! さらに、中学生以下の子どもと訪れると、その親と祖父母に「親子割引」が適用されるそう。何かと出費の多い夏に嬉しい展覧会です。

 

その2 ちひろ美術館・東京「いわさきちひろ生誕100年『Life展』あそぶ plaplax」(7/2810/28

plaplax 絵の具の足あと 2018年

今年2018年は、日本を代表する絵本作家いわさきちひろさんの生誕100年の節目の年。それを記念して、東京と安曇野にあるそれぞれのちひろ美術館では、「Life」をテーマに、様々な分野で活躍する7人(組)の作家とコラボレーションする展覧会シリーズ、「Life展」 が1年を通じて開催されています。この夏、ちひろ美術館・東京で開催されているのは、多様なメディアを使い、体験型の作品を展開し続けるアートユニットplaplax(プラプラックス)とのコラボ展。テーマは、ズバリ「あそぶ」。
床に敷かれた白いシートの上を歩くと、ピアノの音が鳴り、水彩絵の具のにじみが浮かび上がる作品や、スクリーンの前に立つと、自分のシルエットがいわさきちひろの絵の一部となる作品など、体験型の楽しい作品が展開されています。普段の美術館では、思いっきり遊べませんが、この展覧会はむしろ遊んだもん勝ち。大人も子どもも、めいっぱい遊んでみてください。
そうそう。ちひろ美術館は、実は世界で最初の絵本美術館。2階にある図書室には、国内外の絵本が約3000冊配架されています。遊び疲れたら、子どもと図書館で過ごしてみては?

 

嶋本 麻利沙 ちひろ美術館・東京 図書室
その3 埼玉県立近代美術館「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる!-埼玉の巻-」(7/79/2

国民的漫画『YAWARA!』や映画化もされた『20 世紀少年』をはじめ、数々のヒット漫画を世に送り出してきた人気漫画家・浦沢直樹さんの創作活動の全容を紹介する展覧会。浦沢直樹さんが、生涯で描いて描いて描きまくった直筆原稿やイラスト、スケッチなどが、約1000点も展示されています。しかし、これでも、浦沢さんがこれまでに描いたもののほんの一部に過ぎないとのこと。人生で描いたものの総数は、なんと35000点を超えているのだそうです。
展覧会の目玉は、『MONSTER』第18巻 (最終巻) の一巻丸ごと直筆原稿展示! 一度読み始めたら最後、子どもそっちのけで一気読みしてしまうこと必至です(笑)

 

子どもたちに是非見て欲しいのは、浦沢さんが小中学生時代に描いた漫画の数々。そのすぐ近くには、浦沢さんが、少年時代に親からよく言われたという『漫画ばかり描いていないで勉強しなさい』の言葉も紹介されていました。漫画ばかり描いていたからこそ、今の浦沢直樹さんがあるのだと思うと、実に感慨深いものがあります。漫画に限定せず、スポーツでも将棋でも何でも、子どもの時から真剣に打ち込めるものがあるというのは素敵なことですね。浦沢少年の熱量に刺激されて、きっと何かに一生懸命になりたくなるはず。我が子の将来は、人気漫画家かサッカー選手かプロ棋士か。

 

******************

アートテラー・とに~

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。

芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。

美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。

アートブログ https://ameblo.jp/artony/

《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)

直前の記事

【スペシャリスト 鑑賞の流儀】翻訳家・鴻巣友季子×「モネ それからの100年」展

「スペシャリスト 鑑賞の流儀」は、さまざまな分野の第一線で活躍するスペシャリストが話題の美術展を訪れ、一味違った切り口で美術の魅力を語ります。 今回は、翻訳家の鴻巣友季子さんに、横浜美術館(横浜市)で開催中の「モネ それ

続きを読む
新着情報一覧へ戻る