【アートテラー・とに~の今月コレを見逃しちゃいけま展!】インスタ映えする展覧会トップ3

皆さま、こんにちは。アートテラーのとに~です。前回紹介した3つの展覧会には、足を運んで頂けましたか? えっ、国立西洋美術館の「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」を見逃してしまった?!
それは、なんともったいない! でも、ご安心ください。今月13日より、神戸の兵庫県立美術館にて開催されます。もし、それも見逃してしまうと、あとはスペインに行かなくてはなりませんよ。今のうちに、神戸行きのスケジュールを組んでおきましょう。
さてさて、早くも2018年の上半期が終わろうとしています。突然ですが、皆さま、昨年の流行語大賞を憶えていますか? 正解は、「インスタ映え」(ちなみに、もう1つは「忖度」)。オシャレなカフェに、お花畑に、滝や島といった大自然に。インスタ映えするスポットは、いろいろとありますが、実は展覧会もインスタ映えするスポットとして、若い女性を中心に人気が上がっているそうです。写真撮影全面禁止が当たり前だったのは、すっかり過去の話。最近では、全展示室で写真撮影可能な展覧会や、数点の作品のみや会場の一部など条件付きで写真撮影可能な展覧会が増えています。また展示室での写真撮影は不可でも、フォトスポットが設けられている場合も。そうして撮影された写真が、InstagramをはじめSNSで拡散され、人気展覧会となるケースも少なくありません。今や「インスタを制すものは、展覧会を制す」と言っても過言ではないのです。
ということで、今月のテーマは、「インスタ映えする展覧会トップ3」。美術品も楽しめる。さらには、写真撮影も楽しめる。そんな展覧会を忖度なしで3つ紹介いたします。足を運ばれる際には、スマホやカメラをお忘れなく!
その1 菊池寛実記念 智美術館「線の造形、線の空間 飯塚琅玕齋と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸」(4/14~7/16)
虎ノ門にある菊池寛実記念 智美術館。知る人ぞ知る、大人の隠れ家系美術館です。智美術館を訪れた誰もが、1階の玄関ホールと地下の展示室を結ぶ螺旋階段に目を奪われることでしょう。天井からの光を受けて宝石のように輝くガラスの手摺りは、ガラス作家の横山尚人氏によるオリジナル作品。さらに、銀の和紙が貼られた壁面には、書家の篠田桃紅氏のコラージュ作品がほどこされています。普段は写真撮影が禁止ですが、思わず写真を撮りたくなるくらいに、フォトジェニックなスポットです。


そんな螺旋階段が、現在開催中の展覧会に限り、なんと写真撮影がOK! しかも、東京では実に33年(!)ぶりとなる竹工芸に特化した今回の展覧会の目玉作品の一つとして、この螺旋階段にダイナミックな竹のインスタレーション作品が設置されており、よりフォトジェニックになっています。インスタ映え、間違いなし! ちなみに、作者は大英博物館やボストン美術館といった名だたる美術館に作品が収蔵され、世界的に注目を集めている竹工芸家・四代田辺竹雲斎氏。Instagramに写真をアップしたら、世界中から「いいね!」がもらえるかも。
その2 横浜美術館「ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」(3/24~6/24)
インスタ映えする展覧会といったら、現在横浜美術館で開催中の「ヌード展」は外せません! 基本的には、全展示室で撮影禁止となっていますが、展覧会の目玉、日本初公開のロダンの大理石像《接吻》に限り、なんと写真撮影がOK! 360度どこから見ても「映える」ロダンの傑作を、360度どこからでも撮影できるというまたとない機会です。

ちなみに、《接吻》の像のラブラブな2人は、ダンテの『神曲』に登場するフランチェスカ・ダ・リミニと、その夫・・・・・・ではなく、夫の弟パオロ・マラテスタ。2016年の流行語トップ10に選ばれた「〇〇不倫」ってヤツですね。そんなスキャンダラスな題材の上に、あまりに像がエロティック過ぎるため、1913年にイギリスで一般公開されたときには騒ぎとなり、最終的にはシーツで覆い隠されてしまったのだとか。あれから105年。まさか日本で、《接吻》がシーツなしで観られるとは。しかも、写真を撮ってOKだとは。当時のイギリス人はビックリです。
その3 松本市美術館「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」(3/3~7/22)
美術界のインスタ女王といえば、やはり草間彌生さんです。おなじみのカボチャをはじめ、作品も映えますし、キーホルダーやステーショナリーといったグッズも映えます(←「映える」と書いて、「ばえる」と読むそうです)。昨年、国立新美術館で開催された大々的な展覧会「草間彌生 わが永遠の魂」も、一部写真撮影が可能だったため、とにかく映える展覧会でした。
そんな草間彌生さんの最新個展が、現在、生誕の地である長野県松本市で開催中です。美術館の外観はもちろん、館内も草間彌生ワールドが全開! 展示室は一部しか写真撮影できませんが、展示室以外にも草間彌生作品がめいっぱい侵食(?)しているので、フォトスポットには困りません。

また、展覧会オリジナル草間彌生グッズも大充実。映えるアイテムをゲットするチャンスです!
さらには、松本市市制施行110周年を記念した展覧会ということで、美術館だけでなく、駅前や街中、ホテル、イオン(!)などいたる所に草間彌生作品が設置されていました。もはや街全体がインスタ映えしています。
※関連記事 「スマホで《接吻》を撮影しよう! スマフォト講座開催レポート」 もあわせてご覧ください。
*******************
アートテラー・とに~
1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。
美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。
アートブログ https://ameblo.jp/artony/
《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)