プラド美術館 ミゲル・ファロミール館長に聞く

ディエゴ・ベラスケス《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》の前で、ファロミール館長と蓑館長

2月23日午後2時から、「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」(読売新聞社など主催)の開会式が国立西洋美術館(上野公園)で行なわれ、プラド美術館からはミゲル・ファロミール館長らが出席。6月に同展が巡回する兵庫県立美術館・蓑豊館長がベラスケスの作品やプラド美術館についてファロミール氏にインタビューした。

プラド美術館 ミゲル・ファロミール館長

 

兵庫県立美術館 蓑豊館長

 

――よくいらっしゃいました。いくつかお尋ねしたいと思います。まず、館長のご専門でもありますイタリア美術からベラスケスが受けた影響をお聞きしたいのですが。

ベラスケスは「イタリアの古典を学ばない者は画家になれない」というルーベンスの助言でイタリアへ行ったのです。イタリアで学んだことは三つに要約できるでしょう。①初期古典派の裸体画表現②感情と情念の描法③技術の習得、この3点です。イタリアへ行ってベラスケスの色遣いは格段に明るくなりました。

 

――ベラスケスは風景画家ではありませんが、風景も魅力的ですね。《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》の背景とか。

彼はすばらしい風景画を残しています。「とても近代的な風景画家」とも呼ばれています。エレメント(要素)を選んで構成する、理想化された古典的な風景画ではありません。室内で描いた風景ではないのです。その絵を見ると何処から彼が風景を描いているかわかるほどです。屋外で見た自然の風景ですね。

 

――ベラスケスが好んだイタリアの画家を教えてください。

まずティツィアーノ、次にヴェロネーゼ、それからティントレットでしょうか。彼はイタリアでスペイン宮廷のために絵を買い付けていますが、ラファエロなどには興味を示していません。

 

――館長がプラド美術館の事業の中で現在最も力を入れていることは何ですか?

来年2019年プラド美術館は創立200周年を迎えます。今年の11月から記念事業が始まりますが、記念展としてベラスケスとレンブラントの黄金コンビに焦点を当てた「スペイン、オランダ黄金の世紀」という企画展を考えています。あとはこれまでの美術館拡張工事の最終的な仕上げの仕事です。カルロス王太子像も飾る予定の「諸国王の間」を完成させます。

 

――オールドマスターの魅力は何でしょうか?

私は古くさいというイメージがある“オールドマスター”よりも“古典派”という言い方が好きですね。ベラスケスなど古典絵画は現代作家にも大きな影響を与えています。
例えばフランシス・ベーコンは晩年プラドの近くに居を構えて熱心に美術館に通い、そこで亡くなりました。ピカソは「《ゲルニカ》は《ラス・メニーナス》の前に飾ってほしい」と常々言っていたのです。
でも、展覧会にお越しになる観客の皆さんには、難しく考えず観ただけで「すばらしい」と感じてもらえれば、それでいいと思いますね。

 


(インタビューを終えて)

ベネチア派がご専門のファロミールさんの大変興味深いお話を聞くことができ、感謝しています。プラド美術館展を初めて開催する兵庫県立美術館では例えば赤いカーペットを敷くなどスペイン王宮の雰囲気を作っていきたいですね。
多くの方々にプラド美術館の神髄を味わっていただきたいと考えています。(蓑豊・兵庫県立美術館長)

 

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美連協ニュース2018年5月号№138号より

「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」は、国立西洋美術館(東京・上野
公園)は5月27日(日)まで。その後、6月13日(水)から10月14日(日)まで兵
庫県立美術館(神戸市)で開催します。

展覧会公式サイトはこちら
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