
美術展ナビ×太田記念美術館コラボ企画【いろはde浮世絵】第5回「いろはの㋭」――彫師ってどんな仕事?
浮世絵版画の制作は、集団分業体制である。絵師は版下絵を「描くだけ」であり、その絵を彫師が山桜の木の板に彫り、摺師が指定された色で摺る。もちろん版下絵の善し悪しは、浮世絵版画の出来不出来を決定する大きな要素ではあるが、〈そ
浮世絵版画の制作は、集団分業体制である。絵師は版下絵を「描くだけ」であり、その絵を彫師が山桜の木の板に彫り、摺師が指定された色で摺る。もちろん版下絵の善し悪しは、浮世絵版画の出来不出来を決定する大きな要素ではあるが、〈そ
浮世絵といえば、まずは「版画」である。葛飾北斎の『冨嶽三十六景』も歌川広重の『東海道五拾三次内』も木版印刷で大量生産され、日本中、津々浦々まで浸透した。とはいえ、北斎や広重、絵師たちが制作していたのは版下絵だけではない。
浮世絵を専門に収集・研究・展示している太田記念美術館(東京・原宿)と、「美術展ナビ」のコラボレーション企画です。2023年1月5日に第1回の「㋑」がスタートしました。浮世絵の「いろは」を、同美術館の日野原賢司・主席学芸員
描かれているのは、スズメである。スズメといっても、そこらでチュンチュン鳴いている「野スズメ」とは違うようだ。綺麗な着物に身を包み、格子の中で、ツンとおすまししている。格子の外に群がってその姿を眺めているのも、スズメ、スズ
江戸の荒事、京都の和事。江戸時代最大の娯楽、歌舞伎の世界では、昔からこんな事が言われていた。上方の芝居では、男と女のしんねりむっつりした「恋の駆け引き」の物語が人気だったのに対し、『助六』や『暫』など豪放かつ雄大な英雄譚
江戸時代のベストセラー、『偐紫田舎源氏』を著した戯作者の柳亭種彦(1783~1842)は、随筆集『柳亭記』で「浮世」には二つの意味があると書いている。 〈一つは憂き世の中(略)一つの浮世は今様といふ〉 「この世はままなら
まずはごあいさつ 江戸時代、浮世絵は日本を代表するポップカルチャーだった。長屋に住む熊さん八つぁんから大店のご主人、さらにはエラいお武家さままで、色鮮やかな版画の数々を楽しんでいたのである。東洲斎写楽の役者絵、喜多川歌麿