プラド美術館展・記念講演会第2回開催しました!

大阪大学教授の岡田裕成さんによる記念講演会を8月19日(日)に兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催しました。
「創意の画家ベラスケス 王の愉しみのために捧げた芸術」と題した講演では、まず、ベラスケスの代表作「ラスメニーナス」(本展非出品)に触れ、この作品は本展のテーマの「絵画の栄光」にも通じる絵画制作の高貴さを主張するものでもあるとも言われているが、実は国王ただ1人を愉しませるために、まわりの気の置けない仲間たち―道化や侍女、愛する王女など親密な人たち―を絵画的な仕掛けや技巧を駆使しながら描いたものでもあると話されました。
その方法論は、宮廷画家になる前の「セビーリャの水売り」(本展非出品)などのボデゴン(厨房画)において、市民コレクターを愉しませるために取り入れていた手法(「セビーリャの水売り」の場合は、水瓶の水滴などの描写から登場人物たちの水のやりとりの動作が想起させるなど、見る者をイメージの中に引き込み、読ませる技術)が出発点になっているとのことです。
この両作品の間に描かれた本展に展示されている7点の作品も、こうしたベラスケスの適応力や柔軟さがよく表れているとのことで、国王が愉しみやすい形で多くの傑作を残したベラスケスは、大画家であると同時に人の心の細やかさをリアルに感じ取って絵画に描くことができた芸術家だったと解説されていました。
9月9日(日)午後2時から早稲田大学名誉教授の大高保二郎さんによる第3回記念講演会を行います。詳細はこちら。