作品紹介4 《マルス》 ディエゴ・ベラスケス

ディエゴ・ベラスケス 《マルス》 1638年頃 油彩、カンヴァス 179×95cm マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

ベラスケスは、戦いの神であるマルスを、力強く勇敢な勝利の兵士としてではなく、頬杖をつき疲れた表情をしてベッドの端に腰かける中年男性として描きました。

頭の兜や足元に置かれた甲冑、右手が支えるバトンがなければ、我々はこの男が誰だか分からないでしょう。この休息のマルスがどのような意図のもとに描かれたのかは様々な解釈が提示されています。

一つは、これがヴィーナスとの逢引きが神々にばれた後の放心状態のマルスを表したとするものです。温かい色彩、空気の効果を示唆するぼやけた輪郭線、大振りながら的確に形態を把握する筆致といった点から、ベラスケスはここで自らをティツィアーノとルーベンスの後継者として位置付けていることは明らかです。

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