CHAPTER 1章物語とヌード

フレデリック・ロード・レイトン《プシュケの水浴》1890年発表 油彩/カンヴァス Tate: Presented by the Trustees of the Chantrey Bequest 1890, image © Tate, London 2017
フレデリック・ロード・レイトン
《プシュケの水浴》
1890年発表 油彩/カンヴァス
Tate: Presented by the Trustees of the Chantrey Bequest 1890, image © Tate, London 2017

19世紀イギリスのヴィクトリア朝時代、ヌードは古典文学や神話、聖書を題材とした歴史画でのみ、描くことが許されていました。常にモラルと芸術表現との葛藤にあったヌードへの取り組みとともに、画家の基礎訓練として重要視されたヌード・デッサンについても紹介します。

<主な出品作家>
ウィリアム・エティ
ジョン・エヴァレット・ミレイ
ハーバート・ドレイパー
ほか

 

CHAPTER 2章親密な眼差し

エドガー・ドガ《浴槽の女性》 1883年頃 パステル/紙 Tate: Bequeathed by Mrs A.F. Kessler 1983, image ©Tate, London 2017
エドガー・ドガ《浴槽の女性》
1883年頃 パステル/紙
Tate: Bequeathed by Mrs A.F. Kessler 1983, image ©Tate, London 2017

19世紀後半になると、同時代の女性が日常的な室内空間で描かれるようになります。あたかもプライベートをのぞき見るような作品や、親密な関係を築いたモデルを繰り返し描いた作品、アトリエ自体を主題とした作品など、画家とモデルとの関係や作品のテーマが変化しました。

<主な出品作家>
ピエール=オーギュスト・ルノワール
ピエール・ボナール
アンリ・マティス
ほか

CHAPTER 3章モダン・ヌード

ヘンリー・ムーア《倒れる戦士》1956–57年頃(1957–60年頃鋳造)ブロンズ Tate: Presented by the artist 1978, © The Illustrated work has been reproduced by permission of the Henry Moore Fpundation C1529, image © Tate, London 2017
ヘンリー・ムーア《倒れる戦士》
1956–57年頃(1957–60年頃鋳造)ブロンズ
Tate: Presented by the artist 1978, © The Illustrated work has been reproduced by permission of the Henry Moore Fpundation C1529, image © Tate, London 2017

20世紀初頭、ヌードそのものが独自のジャンルを確立すると、キュビスムやドイツ表現主義、ヴォーティシズムなど、身体を新たな視点で捉えた造形的なアプローチが見出されます。とりわけ彫刻では抽象的な人体表現や、非西洋の文化を積極的に採り入れた作品など、革新的な表現がうみだされました。

<主な出品作家>
アンリ・マティス
バーバラ・ヘップワース
アルベルト・ジャコメッティ
ほか

CHAPTER 4章エロティック・ヌード

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手》「スイス人物」スケッチブックより 1802年 黒鉛、水彩/紙 Tate: Accepted by the nation as part of the Turner Bequest 1856, image © Tate, London 2017
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手》
「スイス人物」スケッチブックより
1802年 黒鉛、水彩/紙
Tate: Accepted by the nation as part of the Turner Bequest 1856, image © Tate, London 2017

愛と性をテーマにした作品を、時代を超えて紹介します。発表当初、刺激が強すぎるとシーツで覆い隠されたといわれるロダンの《接吻》を中心に、寝室の男女をスケッチしたターナー、売春宿をのぞき見るような視点で描いたピカソ、同性愛を描いたホックニー、また性行為での女性の優位性を示したブルジョワなど、愛の行為に迫る芸術家たちのとり組みがみてとれます。

<主な出品作家>
デイヴィッド・ホックニー
パブロ・ピカソ
ルイーズ・ブルジョア
ほか

CHAPTER 5章レアリスムとシュルレアリスム

ポール・デルヴォー《眠るヴィーナス》1944年 油彩/カンヴァス Tate: Presented by Baron Urvater 1957, ©Foundation Paul Delvaux, Sint-Idesbald-SABAM Belgium / JASPAR 2017 C1528, image ©Tate, London 2017
ポール・デルヴォー《眠るヴィーナス》
1944年 油彩/カンヴァス
Tate: Presented by Baron Urvater 1957, ©Foundation Paul Delvaux, Sint-Idesbald-SABAM Belgium / JASPAR 2017 C1528, image ©Tate, London 2017

1920年代から1940年代にかけて、ふたつの重要な表現がうまれました。「性」と「無意識」に新たな理念を持ち合わせたシュルレアリスムは、夢や欲望といった未知の領域に踏み込みました。一方、第一次世界大戦後、合理性や機能性に失望した画家たちは、現実を捉え、人間の身体に肉薄したレアリスムを追及します。自らの裸体を作品に登場させるなど、革新性に富んだ表現がうまれました。

<主な出品作家>
ジョルジュ・デ・キリコ
マン・レイ
ハンス・ベルメール
ほか

CHAPTER 6章肉体を捉える筆触

ルシアン・フロイド《布切れの側に佇む》1988–89年 油彩/カンヴァス Tate: Purchased with assistance from the Art Fund, the Friends of the Tate Gallery and anonymous donors 1990, image © Tate, London 2017
ルシアン・フロイド《布切れの側に佇む》
1988–89年 油彩/カンヴァス
Tate: Purchased with assistance from the Art Fund, the Friends of the Tate Gallery and anonymous donors 1990, image © Tate, London 2017

1950年代以降、絵画の筆触により人体の物質性と内面性を表した絵画が制作されます。戦後最も重要な画家のひとりであるベーコンは、人間の存在の根源にある不安や孤独を、デフォルメされた人物像に表しました。また抽象表現主義を代表する画家デ・クーニングは、激しい筆致で女性の身体を生々しく描きだし、フロイドは綿密な心的洞察に基づき、油彩を厚塗りしたヌード・ポートレートを制作しました。

<主な出品作家>
フランシス・ベーコン
ウィレム・デ・クーニング
セシリー・ブラウン
ほか

CHAPTER 7章身体の政治性

バークレー・L・ヘンドリックス 《ファミリー・ジュールス:NNN[ノー・ネイキッド・ニガー(裸の黒人は存在しない)]》1974年 油彩/麻布 Lent by the American Fund for the Tate Gallery, courtesy of the North American Acquisitions Committee 2011, image © Tate, London 2017, ©Estate of Barkley L. Hendricks. Courtesy of Jack Shainman Gallery, New York.
バークレー・L・ヘンドリックス
《ファミリー・ジュールス:NNN[ノー・ネイキッド・ニガー(裸の黒人は存在しない)]》
1974年 油彩/麻布
Lent by the American Fund for the Tate Gallery, courtesy of the North American Acquisitions Committee 2011, image © Tate, London 2017, ©Estate of Barkley L. Hendricks. Courtesy of Jack Shainman Gallery, New York.

1970年代、裸体表現が政治的主張の場になることがしばしばありました。フェミニズムの美術家たちは、男性的視点から女性を描いた、従来のヌード表現のアンバランスな男女の力関係に真っ向から挑みます。また、自らの裸体を表現に用いた写真作品や、人種や性のテーマに言及した作品は、ヌードをめぐる限定的な視点に異を唱えました。

<主な出品作家>
ルーカス・サマラス
シルヴィア・スレイ
サラ・ルーカス
ほか

CHAPTER 8章儚き身体

シンディ・シャーマン《無題》1982年 タイプCプリント Tate: Purchased 1983, ©Courtesy of the artist and Metro Pictures, New York
シンディ・シャーマン《無題》
1982年 タイプCプリント
Tate: Purchased 1983, ©Courtesy of the artist and Metro Pictures, New York

1980年代以降、儚く移ろいゆくものとしてヌードを捉える、大判の写真作品が制作されます。そこでは、老いゆく身体、出産と新たな生命、社会的な女性の固定イメージといったテーマが写し出されています。一方でライブ・パフォーマンスを取り入れ、ヌードに対する視点を鑑賞者と共有する、新しい表現のかたちも見られるようになります。

<主な出品作家>
リネケ・ダイクストラ
トレイシー・エミン
フィオナ・バナー
ほか

読売新聞社の展覧会

プラド美術館展ーベラスケスと絵画の栄光ー
ヌード NUDE―英国テート・コレクションより
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