Highlight みどころ
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01世界に散逸した
名作の数々、夢の再会オルセー美術館の至宝・ゴッホ《アルルの寝室》をはじめ、世界各地に散逸した松方旧蔵の名作が集結します。
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フィンセント・ファン・ゴッホ《アルルの寝室》(部分) 1889年 油彩・カンヴァス オルセー美術館
Paris, musée d’Orsay, cédé aux musées nationaux en application du traité de paix avec le Japon, 1959 Photo©RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMFピエール=オーギュスト・ルノワール《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》1872年 油彩、カンヴァス 国立西洋美術館(松方コレクション) -
02モネ“幻の睡蓮” 修復後、
初公開2016年にパリ・ルーヴル美術館で発見され、国立西洋美術館に寄贈されたことで大きな話題となったモネ《睡蓮、柳の反映》が現存部分の修復を経て、初めて公開されます。
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クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》 1916年 油彩、カンヴァス 国立西洋美術館(旧松方コレクション)※修復前 モネ「幻の睡蓮」ただいま修復中…
修復風景 1921年に松方がモネから直接譲り受けた、代表的な連作「睡蓮」の中の1点。元は縦2メートル、横4.25メートルの大作で長い間所在不明でしたが、2016年にルーヴル美術館の一角で、画布の上半分が失われた状態で発見されました。
パリ・オランジュリー美術館の「睡蓮」の大装飾画を構想する過程で描かれたとされ、画家の制作プロセスを考えるうえでも、きわめて意義のある“幻の大作”です。 -
03時代を生き抜いた
コレクション、
激動のドラマがよみがえるロンドン、パリでの松方の蒐集の足取りをたどりつつ、散逸、焼失、接収…と苦難の歴史を歩んだコレクションの数奇な運命を明らかにします。
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マティス《長椅子に座る女》1920-21年 油彩、カンヴァス バーゼル美術館
Photo © Kunstmuseum Basel – Martin P. Bühlerクロード・モネ《積みわら》1885年 油彩、カンヴァス 大原美術館
松方コレクションとは
神戸の川崎造船所(現・川崎重工業)の初代社長などを務めた松方幸次郎が、1910~20年代にヨーロッパ各地で蒐集した美術品のコレクション。
浮世絵約8000点のほか、西洋絵画、素描、版画、彫刻、装飾芸術品など3000点近くにのぼります。
第二次世界大戦の前後に散逸、焼失した作品も多いですが、コレクションの一部は戦後、日本へ「松方コレクション」として返還されました。
これを保管展示するための美術館として1959年に国立西洋美術館が設立されました。
作品のゆくえ

松方幸次郎とは
松方幸次郎は、1866年、明治政府で大蔵大臣、首相を歴任する松方正義の三男として鹿児島に生まれました。父を追って1875年に上京、大学予備門を経て1884年(明治17年)に渡米、ラトガース大学を経てエール大学で1890年に民法の博士号を取得後、ヨーロッパを周遊しつつ帰国。
父正義の秘書官や日本火災保険株式会社副社長などを経て、1896年に30歳で神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)の初代社長に就任。1928年に引責辞任するまで同社を率いて発展させ、特に第一次世界大戦を背景とするストックボート(既成貨物船)販売の成功で巨額の利益を上げます。
神戸新聞社社長、神戸商会会議所会頭もつとめるなど、実業家としての活躍の一方で、3回の渡欧時期(1916年-1918年、1921-1922年、1926年)を中心に、美術館建設を目指して精力的に美術品の収集を進めました。
川崎造船所社長辞任後も、日ソ石油会社社長や衆議院議員として活躍しますが、1950年に鎌倉で死去。
