モネ、ルノワール 印象派の光

東京都

松岡清次郎の西洋画コレクションは晩年にはじまった。中国陶磁器を中心とする東洋美術を存分に味わい、自らの美への直観力を磨いたコレクターの眼は、独自の世界観を持つコレクションを形成した。
本展では、同館が所蔵する西洋画コレクションの中から、モネ、ルノワールをはじめとする、フランス印象派・新印象派の絵画が一堂に会する。
印象派の画家たちが活躍した19世紀後半のパリは、ナポレオン三世の下、オスマン男爵が取り組んだ大規模な都市改造により道路拡張やガス燈の設置、また鉄道網が形成されるなど、市民生活が大きく変わった時代であった。その変化に呼応するように、伝統が王道とされた絵画の世界も変貌していく。同館の創設者 松岡清次郎が事業家として生きた20世紀もまた、産業技術の革新により人々の暮らしぶりが目まぐるしく変わり続けた時代だった。清次郎は貿易を手始めに、冷蔵倉庫業、ホテル、教育事業、不動産賃貸業といった人々の生活に関わる事業を数々手がけ、その暮らしに目を向けていた。なかでも、大正12(1923)年に創業し本年創立100周年をむかえた松岡冷蔵は、日本の食品コールドチェーンのパイオニア的な存在であり、日本の台所を支えている。清次郎が印象派の絵画に惹かれたのは、画家たちの生活への眼差しや現状を見据え新たな表現を生み出そうとする心意気にシンパシーを感じたからなのかもしれない。新たな芸術を追い求めた画家たちの作品に清次郎が感じ取った理想の美を見つけてほしい。

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