【特別展】小林古径 生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―

東京都

近代日本画の歴史に大きな足跡を残した小林古径(1883~1957)と速水御舟(1894~1935)。二人には11歳の年齢の差があるが、彼らの画業をたどると多くの共通点が見出せる。
古径と御舟はともに歴史画・人物画から画業をスタートさせた。1914(大正3)年に再興された院展で活躍した二人は、大正時代半ば以降、細密描写による徹底した写実へと同時期に作風を変化させている。また、実業家・原三渓から支援を受けたことも共通している。さらに、それぞれの渡欧体験を経て、古径は東洋画の「線の美」に目覚めて独自の画風を確立し、御舟は人物表現や水墨を基調とした花鳥画へと新境地を拓いたのだ。
古径と御舟は互いに尊敬し合い、切磋琢磨した仲でもあった。御舟は先輩画家である古径を「自分の信じた道を真直に歩んでいく」と称賛している。一方の古径も年下の御舟に対して「あれほど芸術に熱烈だった友のことを想うと尊敬の念にかられる」と述べており、互いに敬意を持って交流したことがわかる。
古径の生誕140年を記念する本展では、古径の代表作である《極楽井》(東京国立近代美術館)、《出湯》(東京国立博物館)、《清姫》、御舟芸術の粋ともいうべき《炎舞》【重要文化財】、《翠苔緑芝》をはじめ、初期から晩年までの名品の数々を展示し、二人の交流を示す作品や言葉もあわせて紹介。互いに刺激を受け合いながら、時代の先駆けとなって活躍し、同時代や後世の画家たちに大きな影響を与えた、特筆すべき二人の天才画家の軌跡が堪能できる。
※会期中展示替えあり

開催概要