陰翳のなかの金彩

石川県

金は装飾のためにさまざまな形に加工され、工芸において金彩として用いられてきた。金沢で盛んに製造されている金箔も、金彩の素材のひとつである。本展は、近代に入って大きく発展を遂げた金沢の金箔製造について紹介するとともに、工芸を唯一無二の作品に仕上げてくれる金彩の魔力を感じてもらうもの。燦々とした光を受けて輝くばかりでなく、闇のなか、あるかなきかの明かりを映す金のゆらめき、陰翳のなかの金彩の魅力を堪能してほしい。
第一部「金箔と金沢」では、金沢での金箔製造がどのように始まり、発展していったかをたどりながら、現在では金沢でしか行われていない製箔、なかでも縁付(えんつけ)金箔と、それを用いた工芸を紹介する。縁付金箔は、伝統的な工法と熟練の手わざによって製造され、2020年にはユネスコ無形文化遺産に登録(伝統金箔・縁付)されている。
第二部「工芸と金彩」では、うるし、染織、やきものなどの工芸にみられる金彩の多種多様な形態を紹介。穏やかな輝きの金泥(きんでい)、するどく光る平文(ひょうもん)、燦々とふりそそぐ砂子、光を織り込む金糸。金彩と素材との組み合わせや、作家のわざと表現が楽しめる。

開催概要