望郷の画家 橋本龍美展 —神も、庶民も、バケモノも

橋本龍美(1928~2016/本名誠吉)は、加茂市出身の日本画家である。幼いころ忙しかった母に代わり乳母によって育てられた誠吉少年は、毎夜乳母が語ってくれる夜噺に心をふるわせ、また年に一度の青海神社の祭の華やかさ、またそこで掛かる見世物小屋の蛇娘やサーカスに心ときめかせながら、四季折々の自然を満喫しつつ、多感な少年時代をすごした。
独学により画家を志した龍美は、新制作協会の日本画部に出品、やがてその独特の画風により受賞を重ね、中央画壇に躍り出る。「新世代の登場」と高い評価を得た背景には、幼い頃に体験した、夜噺に登場する魑魅魍魎たちや、加茂祭の賑わいと興奮があった。創画会の創立会員になってからも、龍美は、夜を跋扈する妖怪たちをユーモラスに描き、そして次第に懐かしい故郷の自然とそこに暮らす人々の姿も描くようになる。その根っこはすべて幼い時代の原風景であり、さらにそこには森羅万象に神が宿るという日本古来の宗教観が存在するものと思われる。
本展は、平成28年に亡くなった橋本龍美の没後初めてとなる大規模な回顧展であり、その画業を振り返る貴重な機会となる。〈異色の作家〉と呼ばれた橋本龍美が描く絵画世界は、観れば観るほど新しい発見がある。魅力的なユーモアあふれる独自の世界を楽しんでほしい。
開催概要
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会期
2023年4月15日(土)〜6月4日(日) -
会場
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観覧料金
当日一般1,200円
詳細は公式サイトへ
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休館日
月曜日(5月1日は開館)
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