没後10年 映画監督 大島渚

東京都

絶えず映画の自由を追い求め、作品ごとに主題やスタイルを刷新しながら、時に社会の暗部をえぐる反逆者として、また時に映画の常識を破る冒険者として屹立する巨人、映画監督大島渚(1932~2013)を日本が失ってから早くも10年の歳月が経った。
若き日に松竹撮影所で生み出された鮮烈な『青春残酷物語』(1960年)や『日本の夜と霧』(1960年)、自ら興したプロダクション「創造社」を基盤に次々と送り出された『絞死刑』(1968年)、『少年』(1969年)、『儀式』(1971年)といった問題作、そして世界をセンセーションに巻き込んだ国際的合作『愛のコリーダ』(1976年)や『戦場のメリークリスマス』(1983年)――大島の作品群は日本の映画界ばかりか、日本社会そのものに大きな刺激を与え続けた。
本展は、監督が自ら体系的に遺した膨大な作品資料や個人資料をベースに、その挑戦的な知性と行動の多面体に迫るものである。企画の監修には、それら資料を明るみに出した大著『大島渚全映画秘蔵資料集成』(2021年)の編著者樋口尚文氏を迎え、同書の構成を踏襲しつつ当館独自のコーナーも加えて、その苛烈な映画人生を俯瞰する。

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