リニューアルオープン記念特別展 Before/After

現在、大規模改修工事のため長期休館中の広島市現代美術館は、2023年3月にリニューアルオープンを迎える。美術館の再開にあたり、全館を用いた特別展「Before / After」を開催する。
本展では、美術館建物の改修工事という出来事を契機に生じる「前/後」をひとつの足がかりとして、さまざまな「まえ」と「あと」の現象や状況に着目。例えば、経年によるものの変質や劣化、そして修復による対応は、作品や資料を収蔵する美術館では避けては通れない問題だ。また、広島の中心地に建設され、県の産業奨励館として知られていた建物は、被爆後にはヒロシマを象徴する遺構へと姿を変え、原爆ドームという愛称のもと、都市風景の一部となっている。都市を破壊し、人々に健康被害をもたらした核エネルギーは、その後、原子力発電のエネルギー源として世界に繁栄をもたらすとも信じられた。このように、歴史を振り返れば、いくつもの分岐点としての出来事や決断があり、変更や変化が起こってきたことに気づかされる。
私たちは過去からなにを学び、どのような未来を見ているのか。旧約聖書によれば、かつて楽園で禁を破って知恵をつけ、そこから追放された人類の末裔は、いまなお世界のいたるところで諍いを起こし、他者の生活を脅かすなど、さまざまな問題を抱えている。それでもなお私たちは、夢や希望を抱くことを忘れず、自らを癒し、ときに後ろを振り返りながらそれぞれの歩みで前へ進んでいくのではないだろうか。
本展では、社会の変化やシステムにおける綻び、隠され葬り去られた過去や歴史があることを敏感に察知し、作品として発表してきたアーティストたちを取り上げる。彼らは、それぞれのやり方で出来事と真摯に向き合い、変転や変遷のあとさきを静かに想起させる、美しく力強い作品を発表してきた。これらの作品を通じて、さまざまな事象の「まえ」と「あと」とを想起し、変化の有無や差異を認識するのはもちろんのこと、さらにその背景や一連の顛末によってもたらされる功罪や意義を省察する貴重な機会となるだろう。
開催概要
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会期
2023年3月18日(土)〜6月18日(日) -
会場
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観覧料金
当日一般1,600円
詳細は公式サイトへ
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休館日
月曜日
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