企画展「衝動の爪あと」

東京都

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「描きたいと思ったときには出来てるの」。岡本敏子がよくそう言っていた。エスキースを積み重ね、階段をのぼっていくように構想を固めていく一般的な作画プロセスとはまったく逆で、描きたいという衝動が湧きあがった段階で、岡本太郎の頭のなかにはほぼ完成形が立ちあがっているという。
描きながら検討しているわけではなく、頭のなかにある完成形に手が追いつくまで、繰り返し描き、“再現精度”を高めていったのだ。はたから見るとなにが違うのかわからない、同じような絵が何枚もあるのはそのためであり、そこにはきっと、本人でないとわからない微妙な違いがあるのだろう。
アトリエの棚にはそんな絵がたくさん残されている。完成した作品ではないし、そもそも作品と呼んでいいのかどうかもわからないものだが、太郎の創作過程を証言する貴重な資料である。本展では、そうした“衝動の爪あと”をとおして、岡本太郎の創造のプロセスを追体験していく。
さらに本展期間中に、第25回岡本太郎現代芸術賞を受賞した、吉元れい花(岡本太郎賞)、三塚新司(岡本敏子賞)の新作展示も予定。

開催概要