速水御舟展

茨城県

速水御舟(1894~1935)は、明治の末期から昭和初期にかけて活躍した代表的な日本画家の一人である。明治維新以後、日本が近代化を進める中で、美術の世界、とりわけ日本画は大きな変化を強いられた。その渦中にあって、わずか30年ほどの活動を通じ、御舟はその後の近代日本画の展開に強い影響を与え、その方向性を決定づける仕事を多く遺した。
古画の模写、写生に基づく叙情的な作品、大正期の精緻を極めた写実描写、そして古典的な絵画への回帰、単純化と平面性を伴う作品へと変化する画風には、一人の画家とは思えないほどの多彩な表現が見られる。ただ、そこには対象の真実に肉薄しようとした、御舟の一貫した姿勢を見ることができる。それは近代という時代に西洋と対峙する中で、日本画が直面せざるをえなかった様々な問題に真摯に向き合った結果ともいえる。
本展では本画約100点と素描により、型にはまることを嫌い、振幅の激しい画業を通して描くことの意味を問い続けた、御舟の画家としての道筋をあらためて振り返る。
※会期中展示替えあり

開催概要