コレクション解体新書Ⅱ 1970年代以降の作品を中心に

東京都

目黒区美術館は 2022年11月に開館35周年を迎えた。これを記念し、2022年度は4月に「東京の猫たち〈東京・区立美術館ネットワーク連携事業〉」、7月に「美術館はおもちゃ箱・道具箱〈開館35 周年記念展〉」を開催し、10月には〈コレクション解体新書〉と冠した所蔵作品展「フジタが目黒にやって来た」で、35年にわたる作品収集のあゆみを振り返った。本展はこれに続く所蔵作品展の第二弾となる。
目黒区美術館では、これまで日本の近代から現代に至る美術の流れを俯瞰できる体系的なコレクションを目指して作品収集を行ってきた。明治から昭和戦前期については滞欧米作家の作品を中心に、戦後美術については国際的に活躍した作家たちの作品を主な収集対象としている。そして毎年、さまざまな視点でコレクションを取り上げ、〈所蔵作品展〉という形で紹介してきた。「常設展示室」をもたない同館においては、〈所蔵作品展〉は収蔵品をまとめて公開する数少ない機会であると同時に、企画展と同様に毎回変わる会場レイアウトも見どころのひとつとなっている。
今回は、コレクションの中でも1987年に開館した目黒区美術館の誕生前後の時代に照準を合わせ、1970年代以降の作品を中心に紹介。宇佐美圭司(1940~2012)、川俣正(1953~)の複数で構成される大型作品のほか、高松次郎(1936~1998)の《写真の写真》、村上友晴(1938~)の平面作品などを展覧する。
現代美術は、現代を生きる私たちが抱える問題や価値観などを色濃く反映しながら、私たちとともに時を重ね、展開していく。美術館における展示や活動も、その時代を反映させながら、時を重ね、展開してきた。本展では、同館の誕生と成長の時代を共にした作品を、収集経緯やエピソードをまじえながら紹介。同館所蔵の現代美術作品から、何かを感じ、思いを巡らすことで、複雑で混迷を極める現代社会において私たちの生きる力になってほしい。

開催概要