福山城築城400年記念協賛事業 特別展「名刀 江雪左文字―江雪斎、家康、頼宣が愛した刀の物語―」

広島県

ふくやま美術館が所蔵する国宝「江雪左文字」は、南北朝時代に筑前国の刀工である左文字によって作られた太刀で、戦国時代に北条氏の武将であった板部岡江雪斎の愛刀として知られている。のちに江雪斎が徳川家康の家臣となったため、家康の所有するところとなり、さらに家康は、十男である徳川頼宣に「江雪左文字」を与え、頼宣はこの太刀を佩刀して大坂冬の陣の初陣に臨んだと伝えられている。その後、頼宣が紀州藩の初代藩主となったこともあり、紀州徳川家では、初代頼宣の佩刀として「江雪左文字」を大切に守り継いできたようだ。1933年(昭和8年)には旧国宝に指定され、1934年(昭和9年)まで紀州徳川家に伝わっていたが、ついに売却され、長尾美術館の所蔵となった。その後、福山市名誉市民である小松安弘氏の所有となり、2018年(平成30年)にふくやま美術館に寄贈され、現在に至っている。
このように、有名な武将の手を経てきた「江雪左文字」の伝来経緯は、それ自体が伝説的で、一つの太刀が、天下の名刀となっていく過程を如実に物語るものだ。一方で、刀剣は、ときに贈答品として用いられることもあれば、所有者に合わせて「カスタマイズ」されることもあるなど、持つ人の思い入れや、美意識をあらわすものともいえる。本展では、かつての持ち主たちが愛した品々とともに「江雪左文字」を展観し、「江雪左文字」やその付属品からわかることを丁寧に検証しながら、この太刀に秘められた物語を紐解く。

開催概要