祈り・藤原新也(世田谷展)

東京都

1944年に福岡県門司市(現・北九州市)に生まれた藤原新也。東京藝術大学在学中に旅したインドを皮切りに、アジア各地を旅し、写真とエッセイによる『インド放浪』、『西蔵(チベット)放浪』、『逍遥游記(しょうようゆうき)』を発表した。1983年に出版された単行本『東京漂流』はベストセラーとなり、社会に衝撃を与えた。また同年に発表された『メメント・モリ』は、若者たちのバイブルとなる。1989年には、アメリカを起点に西欧へと足をのばし、帰国後は自身の少年時代を過ごした門司港で撮影した『少年の港』をはじめ、日本にカメラを向けた。そして旅のはじまりから50年後、現代の殺伐を伝えるニュースを背に、大震災直後の東北を歩き、コロナで無人となった街に立って、これまでの道程と根幹に流れる人への思いを「祈り」というタイトルに込めた。そして藤原の見た、人が生き、やがて死へと向かうさまは、現在形の〈メメント・モリ(死を想え)〉へと昇華され、新たな姿でわたしたちの「いま」を照らす。


藤原の表現活動で特筆すべきは、写真、文筆、絵画、書とあらゆるメディアを縦横無尽に横断し、それぞれの領域において秀でた表現を獲得していることにある。本展は、祈りをキーワードに、初期作から最新作までの作品を一堂に展示して、藤原新也の多彩な仕事を立体的に展開する。

開催概要