桃源郷通行許可証

埼玉県

桃源郷は、中国の詩人・陶淵明が記した物語「桃花源記」に由来する、理想と平和の土地である。「桃花源記」では、武陵に暮らすある漁師が舟を漕ぐうちに、林の奥の桃源郷へとたどり着く。そこは、世俗とは隔絶された穏やかな時間が流れる美しい世界であった――。
古今東西の芸術作品を鑑賞するということは、私たちが今立つ地点から遠く離れた時間や空間を経験するということでもある。現実の奥深くに、現在の時空間から解放された「桃源郷」があるとすれば、芸術作品は「桃源郷」への扉を開くための「通行許可証」のようなものであるといえるかもしれない。日常と非日常の裂け目から目に見えないものを想像したり、別の世界を経験したりすること。私たちが様々な時空間を自在に行き来することを願うとき、芸術作品は多くの示唆を与えてくれる。
「桃源郷通行許可証」は、多様な時代、ジャンルの作品と埼玉県立近代美術館のコレクションとの遭遇を通じて、時空を超えた芸術作品の魅力を探る展覧会。展示の中心となるのは、絵画、写真、ドローイング、インスタレーションなど、それぞれの手法を用いて、日常や現実のはざまに潜在する事象を繊細に掬い取る6名の作家の作品と、同館のコレクションとが出会うことで生まれる空間だ。作家や作品同士の対比、テーマによる対照、意外な組み合わせなど、様々な角度から構成される本展は、コレクションに新たな光を当てるとともに、幅広い世代の作家たちの現在地に立ち会う機会となるだろう。
※会期中展示替えあり

開催概要