歌枕 あなたの知らない心の風景

東京都

古来、日本人にとって形のない感動や感情を、形のあるものとして表わす手段が和歌であった。自らの思いを移り変わる自然やさまざまな物事に託し、その心を歌に表わしていたのです。ゆえに日本人は美しい風景を詠わずにはいられなかった。
そうして繰り返し和歌に詠まれた土地には次第に特定のイメージが定着し、歌人の間で広く共有されていった。そして、ついには実際の風景を知らなくとも、その土地のイメージを通して、自らの思いを表わすことができるまでになるのである。このように和歌によって特定のイメージが結びつけられた土地、それが今日に言う「歌枕」だ。
こうして言わば日本人の心の風景となった歌枕は、その後美術とも深い関わりをもって展開する。実景以上に歌枕の詩的なイメージで描かれてきた名所絵や、歌枕の意匠で飾られたさまざまな工芸品などからは、歌枕が日本美術の内容を実に豊かにしてきたものである事に気づかされる。
しかし、和歌や古典が生活の中に根付いていない現代を生きる私たちにとって、歌枕はもはや共感することが難しいのではないだろうか。この展覧会では、かつては誰もが思い浮かべることのできた日本人の心の風景、歌枕の世界を紹介し、日本美術に込められたさまざまな思いを再び皆さまと共有することを試みる。
※会期中展示替えあり

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