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植田正治:白と黒の形態

植田正治が写真をはじめた1930年代は、言うまでもなくモノクロ写真の時代だった。戦後、日本でもカラー写真の技術が普及し、写真の表現の幅、情報の質や量が飛躍的に拡大していった。しかしながら、多くの写真家がその後も、モノクロの写真表現にこだわり、制作を続けてきた。植田正治もそうした写真家の一人である。
写真家がモノクロ、白と黒の世界に惹かれる理由は、様々だ。ただひとつ言えることは、モノクロ写真には、カラー写真とは異なり、暗室作業、つまり一枚のプリントを生み出す職人的な技術と経験が必要とされたということである。そして、その確かなテクニックが、作家独自のこだわりや創意工夫を生み、表現の幅を無限に拡げていった。植田が遺した多くのプリントの数々がそのことを雄弁に物語っている。
1950年代から徐々に、写真雑誌にも、写真家のカラー作品が掲載されはじめた。植田もカラーでの作品を発表しているが、その後もモノクロ作品にこだわった。1957年、写真雑誌に「白と黒の形態」という連載名で発表された作品がある。自分自身の写真スタイルを模索していた時期でもあり、植田自身、写真表現の原点に立ち帰る試みだったのかもしれない。
本展では、1950年代の作品を中心に、戦前の作品、シリーズ〈童暦〉、〈小さい伝記〉、〈風景の光景〉など、代表的な作品群の中から、白と黒、光と影、明と暗を強く意識した作品の数々を紹介。デジタルでのイメージが身近にあふれている現在、あらためてモノクロ写真のシンプルでありながら、奥深い魅力を実感できるだろう。

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