生誕110年 香月泰男展(栃木展)

香月泰男(1911~1974)は20世紀中葉の日本美術に大きな足跡を残した画家である。香月は現在の山口県長門市三隅に生まれた。1934年、東京美術学校在学中に国画会展に初入選し、画壇デビューを果たす。
考え抜かれた構図により少年や静物が逆光のもと描かれた初期作品は、みずみずしい抒情を湛えている。画家として順調なスタートを切るが、さらなる展開を目指す矢先、戦争に駆り出され、終戦後シベリア抑留の憂き目に遭う。1947年帰還、以後故郷を離れることなく画業に専念した。
戦後は、戦争と抑留体験が主なモチーフとなった。57点に及ぶ「シベリア・シリーズ」は生涯の代表作だ。戦争の惨禍と苦しい抑留生活の記憶、死者への鎮魂の思いが暗い色調と重厚なマチエールによって画面に込められた。ただ、注意すべきは、時たま明るい色彩が現れることである。それらの中には、生きる希望が色彩となって澄んだ光を放っているものもある。色彩は初期の作品と通じるものだ。晩年の香月には色彩への回帰が認められる。通例、「シベリア・シリーズ」は召集から帰還まで時系列に沿って展示されてきたが、本展では制作年順に配置し、徐々に明るくなる画風の変遷をたどる。
本展は各年代の代表作をはじめ関連素描など約150点で構成。「シベリアの画家」にとどまらない香月の多彩な全体像を紹介し、初期から晩年を貫く本質に迫る。
※会期中展示替えあり
開催概要
-
会期
2022.04.05〜2022.05.29 -
会場
-
観覧料金
当日一般710円
詳細は公式サイトへ
-
休館日
月曜日、5月6日
-
お問い合わせ
- カレンダーへ登録
最新一覧
-
令和4年度 茅野市美術館 常設展 第1期収蔵作品展 いのちの輝き・生誕120年 小堀四郎
-
特別展 名刀正宗と相模伝
-
Color by Color「いろいろ」展 色の魔法 色から見える写実
-
あつまれ! 朝鮮王朝の動物クリム
-
井上雅之 描くように造る
-
西宮市大谷記念美術館開館50周年記念・和泉市久保惣記念美術館開館40周年記念交換展 西宮で観る至高の美術 和泉市久保惣記念美術館展
-
Human and Animal 土に吹き込まれた命(岩手展)
-
生誕140年記念 芸術家 児島虎次郎の古代エジプト蒐集記
-
開館20周年記念展「Flower of Life 生命の花」
-
第96回企画展 柴田ケイコ展 くらしのなかで生まれるもの