東京都

野田九浦 ー〈自然〉なることー

野田九浦(のだ・きゅうほ、1879~1971)は武蔵野市ゆかりの日本画家。幼少期から絵画に秀でた九浦は、10代半ばで日本画家の寺崎廣業(1866~1919)に入門、その後東京美術学校に進学。同校中退後は日本美術院で研鑽を積むかたわら、正岡子規(1867~1902)に俳句を学び、白馬会洋画研究所に通ってデッサンの指導をうけたほか、留学を目指して英語やフランス語の習得にも励んだ。
本展は、武蔵野市が所蔵する九浦の作品より約20点を関連資料とあわせて展観、“歴史人物画の名手”という側面にとどまらない九浦の魅力を紹介する。俳句の師・正岡子規から九浦が体得した自然主義を手がかりとしながら、九浦の仕事を通観。《等楊先聖》(1928年)や《江漢画房》(1949年)といった歴史人物画にとどまらず、恩師の姿を描いた《山荘における廣業先生》(1938年)や《獺祭書屋》(1951年)、愛猫と過ごす自身の姿を描いた《K氏愛猫》(1954年)、旅先の風景を描いた《湯元》(1935年頃)、異色の大作《雲上図[仮称]》(1910年代頃、六曲一双、本展初公開)など、多彩な作品を紹介する。
2021年11月、九浦は没後50年をむかえた。そして、2022年は吉祥寺美術館開館20年の節目にあたる。武蔵野市史を振り返れば、美術館構想の端緒となったのは野田九浦の作品群であった。九浦の存在によって吉祥寺美術館の現在があるといっても過言ではない。稀なる日本画家・野田九浦の仕事に触れるとともに、この時代を生きる私たちの在りようを見つめ直す機会となってほしい。

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