兵庫県

やきものの模様-動植物を中心に-

やきものには、古くからさまざまな模様が描かれてきた。山野に自生する松や竹。森の中を駆け巡る兎や鹿。身近に咲きほこる梅や菊。そこに集う鶯や雀。大空をはばたく鶴や鷹。また、水辺に生える葦や蓮。そこに棲む鷺や鴨。水藻の間を泳ぐ魚や亀。海の中にいる海老や蛸、そしてサメやシャチ。さらには、当時、目にすることが珍しかった虎や象にいたるまで、数多くの動植物が生き生きと描かれ、見る者の目を楽しませてくれる。これらのモチーフとなった動植物の多くは、すでに描かれていた花鳥画をはじめとした絵画などから写し取られたものであった。それと同時に、それぞれの模様には、人々の思いや願いが込められていた。
一方、科学的な眼で動植物を観察し、そのエッセンスをもとに、デザインされた模様もある。陶芸家・富本憲吉(1886~1963)の羊歯模様が、その代表のひとつといえる。植物を実際に観察し、忠実に描いた素描から、個性あふれるオリジナルの模様を生み出した。そして、やきものの模様に「模様より模様を造るべからず」という、新たな発想を持ち込んだ。
このように、やきものの模様には、絵画のような「アート」からアイディアを得た模様と、自然科学の「サイエンス」に着想を得た模様がある。本展では、江戸時代以降に作られた、やきものの模様に込められた願いや思い、また模様が生み出される過程を紹介。模様が持つ神秘的で奥深い世界を、「アート」と「サイエンス」の双方の眼で観察し、新たな一面を見出す機会とする。

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