茨城県

上田薫とリアルな絵画

上田薫(1928~)は、日本におけるスーパーリアリズムの第一人者として広く知られる画家。1970年代に発表した「なま玉子」シリーズをはじめ、スプーンですくいとられたアイスクリームや、シャボン玉、水の流れといった、身近なものの一瞬の姿をとらえてリアルに表現する作品によって、高く評価されてきた。上田は、写真を利用して対象をクローズアップで描くことにより、肉眼による認識をはるかに凌ぐ視覚世界を現出させる。そしてその作品は、見る者の知覚に揺さぶりをかけ、リアルをめぐる思索へと私たちを誘う。また上田は、1985~93年にかけて茨城大学教授を務め、茨城を制作拠点とした本県ゆかりの画家でもある。
本展では、上田の仕事を代表的なシリーズによって振り返るとともに、現代の作家によるリアルな絵画表現をあわせて紹介。光がものを照らし出す複雑な様相や、人物表現における精神性や同時代性、見る者の意表を突くふしぎな世界など、彼らは各々の関心に基づいて、独自のリアリティを追究している。半世紀を超える上田の表現の軌跡をたどることは、現代のアートシーンで隆盛する様々な作家たちのリアルな表現について考える上でも、重要な意味を持つことだろう。多彩な作品を通して、「リアル」をめぐる豊かな絵画表現の世界を楽しんでほしい。

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