鳥取県

写真の季節―植田正治の1970年代

本展は、植田正治の1970年代に注目。植田にとっての1970年代は、非常に重要な意味をもっている。戦後間もなく発表した砂浜や砂丘での演出写真で高い評価を得た一方、リアリズム写真の台頭により、いわば自身の写真を見失いかけた植田が、1950年代、1960年代と自身の写真を模索し続け、1971年、写真集『童暦』(「映像の現代3」、中央公論社)を発表する。この発表を機に、再び植田の写真が注目され、以降、植田は意欲的に活動を展開している。とくに雑誌での作品発表は数多く、1974年から10年以上にわたる「小さい伝記」の連載(『カメラ毎日』)はこの時期を象徴するシリーズである。この他にも、多彩な作品を発表し続けているが、特徴的なのは、植田が雑誌に多くの文章を寄せていること。「植田正治写真教室」(1973年、『アサヒカメラ』)をはじめ、「植田正治写真作法」(1974年、『アサヒカメラ』)、「写談筆談」(1977年、『カメラ毎日』)、「アマチュア諸君」(1978年、『カメラ毎日』)など、アマチュアや若い世代の写真家へ向けたメッセージ、アドバイスが多く見られ、ベテラン写真家としての自覚と自信に満ちた10年だったことが強く感じられる。
この頃、植田は海外でも撮影をこなしているが、本展では、特に国内で撮影された作品に着目し、雑誌掲載作品と関連作品等から多彩な作品の数々を紹介。70年近く写真を撮り続けた植田の生涯の中でも、もっとも充実した10年、写真を始めた頃と同様の旺盛な好奇心を抱きながら駆け抜けた「写真の季節」を楽しんでほしい。

開催概要

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