神奈川県

開館30周年記念 荒井寿一コレクション 川瀬巴水展

川瀬巴水(1883~1957)は、大正から昭和にかけて風景版画を数多く制作した版画家。幼少より絵に関心を寄せて十代で断続的に日本画を学ぶが、家業を継ぐべき長男であったことから本格的に画業に身を投じることができなかった。転機が訪れた20代半ばから葵橋洋画研究所での学習を経て、27歳で鏑木清方に師事し、ようやく画家として歩み始めた。大正時代前半の巴水は、清方の弟子として雑誌の挿絵や口絵、広告図案などの仕事をし、「版」による制作に親しんだ。やがて同門の伊東深水が制作した風景版画《近江八景》の連作に影響を受けて木版画制作をこころざし、版元・渡邊庄三郎と協力して、大正7(1918)年に塩原の写生にもとづく三部作を発表する。以後、約40年にわたって日本各地を写生旅行し、その地に暮らす人々の生活や四季折々の風景をもとに、詩情あふれる作品を数多く生み出した。
本展は、昨年度開催を予定していた「川瀬巴水展」がコロナウィルス感染症対策のために中止になったことを受けて、荒井寿一コレクションのみで再構成したもの。荒井寿一コレクションは、川瀬巴水の初期から晩年までの優れた版画作品を網羅するほか、これまで紹介される機会の少なかった本の装丁や雑誌の表紙・挿絵・口絵、絵はがきなどのグラフィックデザインを含む充実したコレクションとなる。「版」という表現手段を通じて生み出された巴水作品の幅広さを楽しめる展覧会。

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