神奈川県

ルネ・ラリックの水のかたち 水鳥や魚、水の精たち

生命の源である水は、古来、信仰や祈りの対象であるとともに、芸術家たちに多大なインスピレーションをあたえてきた。人生の多くをフランスの水辺の地ですごしたルネ・ラリック(1860~1945)もその一人だ。トンボや魚、水鳥などの水棲生物をモチーフに、精緻な細工と洗練された意匠によって水のもたらす自然の恵みを生き生きと表現したほか、シレーヌやナイアードといった精霊たちの姿に変えて、かたちを持たない水の神秘性を目に見えるものとして造形化したのだ。
日本美術の影響を感じさせる流水紋や、アール・デコ期を特徴付ける幾何学的な波文様など、ラリックの水のかたちは変幻自在。その多彩さは、七宝やオパルセントガラスなどの斬新な素材の起用や、クリスタルガラスの加工技術の研究によって生み出された。1925年、パリで開催された現代装飾美術産業美術国際博覧会(通称アール・デコ博)のために制作し、現実の水そのものをもデザインに取り込んで母国フランスの水の恵みを讃えた巨大な噴水塔《フランスの水源》は、ガラス工芸家としてのラリックの集大成とも言われている。
箱根神社の「龍神水」や芦ノ湖スカイラインにある「命の泉」など、水にまつわる伝説が数多く残る箱根の地にて、ラリックがとらえた水の美と恵みを楽しんでほしい。

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