兵庫県

私のマル 小野田實展

小野田實は国際的にも再評価が高まる具体美術協会の会員として知られ、日本の戦後美術を語る上で重要な前衛画家の一人である。1937年(昭和12)年に満州に生まれ、終戦の前年に姫路に移った小野田は、2008年に生涯を閉じるまで、姫路を拠点に制作を続けた。とりわけ注目されているのは、吉原治良率いる戦後日本の前衛アーティスト集団「具体美術協会」での活躍である。1965(昭和40)年から1972(昭和47)年の解散まで同協会に属し出品を重ねた小野田は、具体美術協会の海外での再評価のうねりの中で独自の存在感を示しているが、小野田實の画業における7年間の具体時代は一時期である。初期から最晩年までその根底にある哲学的思考は一貫し、小野田は独自の造形言語による揺るぎない創造活動を生涯連綿と続けた。
小野田はまたその活動拠点である姫路においても重要な足跡を残している。1960年の姫路アンデパンダン展組織、1978年の姫路美術協会展の運営への参画、アートスクール主宰による後進の育成などローカルな活動は、地域に現代アートの萌芽を促し既成の価値観を転換するものであった。これらの地域に根を張ったゆるぎない活動姿勢に裏付けられ、小野田から発せられる個の表現もまた地域を超えて限りなく世界へ波及してゆく強度を備えた。ミクロな個としての極めて個人的な観念を世界共通言語に変換する造形言語が小野田實の「私のマル」であり、ボーダレスな概念を社会に突きつけるものであった。
前衛絵画の旗手として大きな足跡を残した小野田實。初期から最晩年までの画業を網羅する作品群から成る過去最大規模の回顧展の実現により、今なお雄弁な小野田の「私のマル」を世界に発信する。

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