東京都

春の江戸絵画まつり 与謝蕪村 「ぎこちない」を芸術にした画家

深く静かな趣をたたえる自然の中の情景、飄逸で洒脱な俳画、そして、どう見ても気色の悪い、いわば苦みを発散する人物画。そのどれもが、与謝蕪村(1716~83)が到達した晩年の画境だ。とりわけ自然の情景を描いた作品が絶賛される蕪村だが、さまざまな作品を見渡せば、個性と深みと面白みにあふれ、まるで絵画のおもちゃ箱を見るような楽しさがある。
蕪村は、晩年より前から、日々大忙しの人気画家だった。ときには中国絵画そのものを思わせる見事な技を見せたり、流麗で美しい線やフォルムでうならせたりもする。しかし、それ以上に多くの作品に感じられるのが、線描や形のぎこちなさと、そこから生まれる親しみやすさ、かわいらしさだ。下手だということではない。蕪村自身がその面白さを自覚して、意図的に表現しているとしか思えないのだ。朴訥さと力強さの境に、あるいは、か細さと揺らめきの狭間にあるような、きわめてデリケートなぎこちなさや頼りなさが、初期から晩年まで、蕪村の絵の根幹にあるように見える。
そんな蕪村のこだわりに注目しながら、約100点の作品を集めた。それによって、「晩年の情景絵画だけではない」新しい蕪村のストーリーに目を向けてみたい。「ヘタウマ」のマンガに慣れ親しんでいる私たちには、蕪村やその時代の京都の人々と同じ感性が、きっと備わっているはずだ。
※会期中展示替えあり

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