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「写真の都」物語 ―名古屋写真運動史:1911-1972―

近代名古屋の写真表現は、1920年代に日本のピクトリアリズム(絵画主義的写真)をけん引した〈愛友写真倶楽部〉に始まる。伊良湖岬や日本アルプス等、海と山に近く、撮影地に恵まれた当地の写真家たちは、風景写真の新たな境地を開拓した。
当初、“旦那衆”の道楽として興った写真の趣味は、やがて広くアマチュアに拡がり、1930年代半ばには名古屋独自のアマチュア向け月刊写真雑誌が創刊され、同誌を背景として「前衛写真」と呼ばれた名古屋発信の表現が全国を席巻した。戦後、シュルレアリスム(超現実主義)表現が復活すると、敗戦後の社会生活を凝視するリアリズム運動と“鎬を削”った。その後、写真家・東松照明の登場と彼によって〈中部学生写真連盟〉が組織されると、若い感性が独自の表現を模索するが、その一部はやがて学生運動へと収斂されていった。
このように連綿と続く名古屋の写真表現に於いてさらに特筆すべきは、彼等の活動が個々の作品の発表に止まるばかりでなく、機関誌や会報、写真集を出版し、自分たちの表現志向や意志を伝えようとしたことだ。各時代に出版された多種多様な資料群は、名古屋が全国でも屈指の「写真都市」であり続けたことを証明するものとも言えるだろう。
本展は、名古屋の写真表現の展開を連続する “運動体”として捉え、時代のなかで、思潮を反映しながら展開したその軌跡を、作品と資料によって辿る。

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