岩手県

唐武と芸術写真の時代

技術的進化によって写真撮影がより手軽になった明治後期、自らの楽しみとして写真を撮り、観賞しようとする人々が現れる。記録という本来の役割よりも、美的な“作品”としての写真を目指したこれらの人々が手本としたのは、絵画の表現であった。絵画を規範とした写真は「芸術写真」と呼ばれ、大正期になると、カメラ人口の急増とともに全国で盛んに作られ、様々な表現が生まれる。そして多くの写真家たちが、写真雑誌への投稿や展覧会への出品を通じ、地域を超えて互いの腕を競い合った。
その中で、岩手を代表する写真家として広く名を知られた一人が、盛岡で長らく写真館を営んでいた唐武(から・たけし、1902-1990年)である。唐は岩手でいち早く芸術写真に取り組み、大正末期から戦前にかけて、県内の写真界をリードする存在として活躍した。何気ない風景やありふれたモチーフを、モダンな感覚と巧みな画面構成で印象深い場面へと昇華させた唐の作品は、近年の写真史研究においても、高い注目を集めている。
初の本格的な回顧展となる本展では、約100点の作品で唐武の世界を展覧。また、神戸の淵上白陽(ふちかみ・はくよう)をはじめとする同時代の主要芸術写真家たちの作品、唐と活動をともにした岩手の写真家たちの作品や資料などを併せて展示し、岩手で芸術写真が花開いた時代を紹介する。

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