奈良県

第72回 正倉院展

正倉院は奈良時代に建立された東大寺の倉庫で、聖武天皇の遺愛品を中心に約9,000件の宝物が現在まで伝えられている。正倉院展はその中から60件ほどを選び公開する展覧会。今年は、楽器、伎楽面(ぎがくめん)、遊戯具(ゆうぎぐ)、調度品、佩飾品(はいしょくひん)、染織品、文書・経巻などが出陳され、正倉院宝物の主要なジャンルの名品をご覧いただくことができる。とりわけ、犀(さい)や獅子を螺鈿(らでん)で表した平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)、曲芸をする人々などを緻密に描いた墨絵弾弓(すみえのだんきゅう)、花文様を全面に表した花氈(かせん)など、美術としての魅力を有する品も数多く展示される。また、武器・武具と薬物がまとまって出陳されるのも特徴。武器・武具としては大刀(たち)、胡禄(ころく)と弓箭(ゆみや)、鉾(ほこ)のほか、馬具も出陳され、古代における武人の装いをご覧いただくことができる。薬物は光明皇后が病人に分け与えるために東大寺に献納したものを中心に、8件が出陳される。光明皇后は今日の病院に当たる施設を作るなど救済事業に尽力したが、薬物の献納もその一環と言えるだろう。薬物は奈良時代における疫病との闘いを伝える品としても、注目されている。

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