和歌山県

もうひとつの日本美術史 近現代版画の名作2020(和歌山展)

版画は、わが国の美術の歴史を語る上で欠かせないものであり、海外から見た日本の美術を特色づける重要な表現である。浮世絵は西欧の近代美術を多彩にし、また戦後の版画家たちの国際的な活躍は、海外で日本の現代美術が認められるきっかけを作った。しかしながら国内においては、江戸時代までの浮世絵から脱して、近代以降、美術表現としての立場を獲得するまでには、長い時間がかかったと言わざるを得ない。例えば1964年の東京オリンピックに際して、国立近代美術館(現在の東京国立近代美術館)で開催された芸術展示「近代日本の名作」展では、自国の美術の歴史を語る文脈において、版画には十分に光が当てられなかった。
その後、1970年代から80年代にかけて、日本各地に公立の美術館が次々に設置され、各館は地域の風土とそこで生み出される表現に向き合いながら、現在まで研究・収集活動を続けてきた。その営みは、中央から見える「日本」の姿と同じではないかもしれない。しかしそこに確かに積み重ねられてきた表現の数々を、美術の歴史として捉え直し、提示することが、地方美術館の仕事のひとつであるとも考える。特に版画という分野においては、近代から現代までをひとつの流れとして見つめ直す課題が残されている。
本展覧会は、戦後75年、また21世紀に入って20年を経た2020年という節目の年に、地方都市にあるふたつの県立美術館である福島県立美術館と和歌山県立近代美術館のコレクションを中心に、この版画という文脈において、地方から見えるもうひとつの近現代日本美術史を編み直そうとする試みだ。また、同館にとっては開館50周年を記念した展覧会である。

開催概要

直前の記事

最新一覧

美術展一覧へ戻る