東京都

宮廷画家ルドゥーテとバラの物語

ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテは、「花のラファエロ」または「バラのレンブラント」と称えられ、バラを語るには欠かせない人物である。
1759年にベルギーで生まれ、画家であった父の仕事を手伝いながら絵を学んだルドゥーテは、幼い頃から森や修道院の庭に咲く草花に興味を持って接する子供であったと伝えられている。13歳のとき、職業画家として独立するために実家を出てオランダで絵の修業を積み、その後同じく職業画家として働いていた兄を頼ってパリに移住して仕事に励みながらも、時間があれば王立植物園に出向いて草花をスケッチするなど、植物への愛好心を忘れることはなかった。
そのようなある日、ルドゥーテはシャルル=ルイ・レリティエ・ドゥ・ブリュテルという植物学者と知り合い、レリティエの支援をうけながら植物画家としての道を歩み始める。30代はじめ頃にルイ16世王妃マリー・アントワネットの蒐集室付素描画家の称号を得て宮廷画家となり、さらにフランス革命後には、植物愛好家として知られていたナポレオン皇妃ジョゼフィーヌの知遇も得て、優美な花々の作品を後世に多数のこした。
ルドゥーテの代表作として名高い『バラ図譜』は、バラの収集に特別熱心に取り組んでいたジョゼフィーヌの居館マルメゾン宮殿の庭園に植えられていた多種多様なバラの姿を、ルドゥーテが描いた原画をもとに制作された植物図譜。スティップル・エングレーヴィング(点刻彫版)という高度な銅版画の技術と、丹念な手彩色によって表現された花々の様子は非常に繊細で洗練されており、類い稀なる芸術性を備えた博物図譜として高く評価されている。また、本シリーズの中には現在絶滅してしまったバラの古代種や原種も描かれているため、学術的な観点からも大変重要視されている。
本展覧会では『バラ図譜』の全作品とともに、ルドゥーテが描いた貴重な肉筆画2点もあわせて紹介。フランス動乱の時代を背景に宮廷画家として生きたルドゥーテの人生に思いをはせつつ、高貴な花々の姿をぜひ楽しんでほしい。

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