鳥取県

異国にて 植田正治と海外

二度のヨーロッパ旅行での作品をまとめた『植田正治小旅行写真帖 音のない記憶』は、1974年に出版された。1972年、初めての海外旅行に挑み夢中でシャッターを切ったという。今回の展覧会では、この〈音のない記憶〉のシリーズをはじめ、植田が海外で撮影した多彩な作品を紹介する。
山陰にこだわり続けた写真家として知られる植田が、1970年代から80年代にかけてヨーロッパ、アメリカ、中国など遠く離れた異国の地を度々訪れ、撮影を行っている。依頼によるものもあったとは思うが、これらの経験は、それまでの山陰での撮影とは全く違う感覚を写真家にもたらしたといえる。ときにはノスタルジックに、また時には好奇心旺盛にシャッターを切る写真家のまなざしが強く感じられる意欲的な作品ばかりである。常に新たな挑戦を試みた植田の写真家としての姿勢も感じていただけることだろう。
今回の展示では、あわせて植田の作品がどのように海外で注目されたかを振り返りる。1950年代から、書籍、雑誌、展覧会などを通じて植田正治の作品はたびたび海外で紹介されてきた。1954年の書籍への採録をはじめ、その後、日本の写真家を紹介する展覧会に繰り返しセレクションされ、海外でのフォト・フェスティバルにも招待されている。また、1980年代以降は、海外で個展が開催され、雑誌などでも単独での特集が組まれている。どのような作品がどのように紹介されたかをたどりながら、植田の作品が海外でいかに評価されてきたかをあらためて概観。山陰にこだわり、アマチュア精神を抱き続けた作家が、異国の地で普遍的な魅力を放ち続けてきた背景、理由が理解できる構成となっている。

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