鳥取県

空想の羽-植田正治の静物

どんな家庭にも、ちょっとした小物があるはずです。
外の世界で撮ったなにげない光景に二重にはめこむ作業も面白いし、
空想の羽を一杯にひろげていろいろと実験することです。

1989年、植田正治がいわゆる「静物写真」を熱心に創作していた時期の言葉だ。「静物」は、西洋絵画のひとつのジャンルだが、写真においても「静物」といえる作品を多くの写真家が手がけている。絵画においては、もともと対象を緻密に描くところから始まっているが、写真においては、写真家の個性や力がより試されるジャンルといえる。植田も写真を始めた戦前から、さまざまな静物写真を試みている。その中でも、晩年、1980年代後半から1990年代に撮影されたシリーズ〈幻視遊間〉(1987—92年)をはじめとする作品群は、植田の「静物写真」の集大成といえる。被写体を自由な発想でとらえつつ、多重露光をはじめ多彩なアレンジを加え構成したこれらの作品は、まさに植田が「空想の羽」を一杯にひろげ、試行錯誤を重ねた成果といえるだろう。なにげない身のまわりのモノが、植田にまるで魔法をかけられたかのように、非日常的で非現実的なオブジェへと変化し、不思議な魅力と輝きを放つのだ。
今回の展示では、晩年のカラーの「静物写真」を中心に、戦前の作品、1950年代のシリーズ〈かたち〉、その他多彩なモノクロームの「静物写真」も紹介。植田の自由な空想の羽ばたき、そして実験精神を感じていただけることだろう。

開催概要

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