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春の江戸絵画まつり  ふつうの系譜  「奇想」があるなら「ふつう」もあります─京の絵画と敦賀コレクション

いま、江戸時代の画家の中で、伊藤若冲や曽我蕭白ら「奇想の画家」が人気だ。鮮やかな色やおかしな形にあふれた若冲の絵も、蕭白の奇怪な人物画も、強烈で奇抜で、心を揺さぶる。
しかし考えてみれば、「奇想」という魅力は、「そうではないもの」、つまり「ふつう」があって初めて成り立つのかもしれない。
実際、若冲や蕭白がセンセーショナルに登場した時代、一方には、誰もが美しいと思うものを描く画家がいた。平安時代に生まれた美に命を与え続けてきた「やまと絵」の流派の画家もいれば、中国伝来の水墨画の良さを浸透させた「狩野派」の画家もいる。また、若冲や蕭白と同じ時代に、同じ京で、未知の美に挑み、彼らに劣らない人気を得た円山応挙や原在中、岸駒らもいる。
敦賀市立博物館には、300点を超える江戸時代から近代にかけての絵画コレクションがあるが、若冲や蕭白の作品は一点もない。いわば「ふつう」の美しさをたたえる作品が、徹底的に収集されているのだ。
これまで、府中市美術館でもその一部を展示してきたが、今回の「春の江戸絵画まつり」では、同館の全面的な協力を得て、選りすぐりの作品およそ100点をご覧いただくことにした。
美術はすべて「驚き」だ。奇想の作品のように、呆気にとられたり気持ち悪かったりすることもあれば、きらきらした美しさにときめいたり、あるいは、穏やかな夢心地を味わえる絵もある。描き手たちは、一枚の平らな画面の上に、見た人の心をさまざまに動かすための技術や工夫を込めてきたのだ。
「奇想」への注目によって「ふつう」になってしまった江戸時代の「きれいなものづくり」だが、そこには、豊かな歴史と美の手法が生きている。そんな「ふつう」の魅力を知れば、奇想も、そして「日本美術史」という更なる広い世界も、もっともっと輝いて見えることだろう。
※作品の大幅な展示替えあり
前期:3月14日(土)~4月12日(日)/後期:4月14日(火)~5月10日(日)

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