山梨県

山本昌男「手中一滴」展

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写真家・山本昌男(1957)は、主に欧米を拠点に活躍している写真家。モノクロームを基調とした静謐で深い表現性を湛えた独特のスタイルと、日本的で精神性の高い美しさは、継続して国際的な評価を受けている。
デビュー作の<空の箱>・<中空>は、独特の質感を持つ小さなサイズの写真を、アンティークの革鞄に、旅の思い出ように詰め込んだ展示や、絵を描くように壁に展示するなど、実験的なインスタレーション作品だった。その後山本は、一点一点の写真が深い心の対話を促す作風へと変化していく。その根底には常に「人間は自然のほんの一部分であり、一体化した存在」という理念があり、身近な動物や植物、風景等、日常誰もが目にする自然のありさまや、見過ごされそうな小さなものを大切にすくいあげる作品を発表する。その写真は、超絶的といわれるモノクロ技法により、繊細な息づかいと緊張感を孕んだ美へと醸造されている。近作の<盆栽>シリーズは、小さな鉢のなかで、人の手と水によってのみ生きる盆栽を、八ヶ岳や富士山麓の雄大な風景の中に置いた写真だ。
展覧会のタイトル「手中一滴」とは、山本による造語で、「一滴の露にも宇宙が宿る」という禅の教えに基づいている。山本の写真も盆栽も、人が自然と向き合う中に、人の手から絞り出されるように生まれた作品だ。そこには人と作品と自然が織りなす究極の美を追求した世界がある。
本展では、デビュー作の<空の箱>・<中空>から<川><浄(しずか)>そして最新作の<盆栽>シリーズまで約170点を作家によるインスタレーションによって展示し、自然の神秘性を追い続けた山本の30年の軌跡をたどる。

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