東京都

日本の原影

岡本太郎は「日本とはなにか」を問いつづけた人だった。日本で闘うことを決意してパリから戻った太郎は、1951年11月に運命の出会いを果たす。上野の東京国立博物館でぐうぜん眼にした縄文土器だ。獲物を追い、闘争する狩猟の民がもっていた原始のたくましさと豊かさ、ふつふつとたぎる生命力、見えない力と対話する呪術の精神……。わびさび型の日本の伝統美とは真逆の美意識を見出した太郎は、これこそが“ほんとうの日本”なのだと直観する。それから5年あまり。日本文化の本質をさがす旅に出た太郎は、最初に訪れた東北で“呪術の心”が息づく「原始日本」と遭遇する。貧しく閉ざされた冬の東北で、原日本の片影に触れたのだ。2年後の1959年には返還前の沖縄を訪問。そこで太郎が見たものは、現代人がどこかへ押しやってしまった日本だった。清冽に生きる沖縄の人々に、日本人の、そして自分自身の根源を見たのだ。縄文〜東北〜沖縄とめぐる太郎の旅は、オリジナルの日本、忘れられた日本、すなわち「ほんとうの日本」を発見する旅であった。本展は、太郎が自ら撮影した写真を元にこの旅を追体験するもの。粛とした空間に流れるのは、ジャズベーシスト須川崇志によるオリジナル曲。岡本太郎の眼がとらえた“ぶ厚く豊かな日本”をみてほしい。

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