奈良県

御即位記念 第71回 正倉院展

本年の正倉院展は、北倉14件、中倉8件、南倉17件、聖語蔵2件の41件の宝物が出陳される。そのうちの4件は初出陳となる。正倉院宝物の全体像がうかがわれる構成となっているが、天皇陛下の御即位を記念し、正倉院宝物の成り立ちと伝来に関わる宝物や、宝庫を代表する宝物が顔を揃えることが特筆される。  
聖武天皇・光明皇后ゆかりの品を伝える北倉からは、『国家珍宝帳』の筆頭に掲げられた「御袈裟合玖領」のうち七條刺納樹皮色袈裟が出陳される。聖武天皇の仏教への帰依を象徴するような品で、東大寺大仏への宝物献納に込められた光明皇后の強い思いがうかがわれる。また、天武天皇以来、聖武天皇を経て孝謙天皇に至るまで、6代にわたって相承されてきた赤漆文欟木御厨子には、聖武天皇・光明皇后の大切な品が納められていた。今回は本厨子とともに、ここに納められていた遺愛品として、紅牙撥鏤尺・緑牙撥鏤尺が出陳される。さらに、光明皇后の父・藤原不比等(659~720)の真跡が表された屏風を献納した際の目録である天平宝字二年十月一日献物帳 藤原公真跡屏風帳も、屏風自体は伝わらないものの、正倉院宝物の成り立ちを知る上で極めて重要な品といえる。このほか、聖武天皇らが着用したとされ、後世、天皇即位時の礼服・礼冠(を調進する際に、しばしば参考に供された冠の一部を伝える礼服御冠残欠が、御即位を記念する今回の展観に出陳されるのも大変意義深い。
一方、本年は、紅牙撥鏤尺、金銀平文琴、金銀花盤といった、中国・唐代の高度な工芸技術を伝える宝物や、目にも鮮やかな粉地彩絵八角几など、平城京に花開いた華やかな天平文化を伝える品々が出陳され、展示室を彩る。また、ペルシアで流行した樹下人物図の系譜に連なる鳥毛立女屏風や、アフガニスタンが主産地であるラピスラズリを用いた紺玉帯残欠などの宝物からは、シルクロードを通じてもたらされた異国の文化が感じられる。
このほか、荘厳を極めた仏具の好例として知られる紫檀金鈿柄香炉、紺玉帯残欠を納めるにふさわしい一際華やかな螺鈿箱、聖武天皇の足下を飾った衲御礼履など、宝庫を代表する宝物が豪華に揃う様は、新時代の幕開けを言祝ぐようである。

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