東京都

線の迷宮〈ラビリンス〉Ⅲ 齋藤芽生とフローラの神殿

目黒区美術館では、これまで「線の迷宮〈ラビリンス〉」と題し、線の魅力と可能性に迫る企画を、「細密版画の魅力」展(2002年)、「鉛筆と黒鉛の旋律」展(2007年)とシリーズで展開し、好評を得てきた。第3回目となる本展では、過去と現代のはざまを独自の視点で捉える画家 齋藤芽生の絵画世界と、19世紀植物図鑑の名作《フローラの神殿》を紹介する。
「美術と文学の間で揺れ動いていた若い私にとって、博物学への興味は新鮮なビジョンをもたらした。一枚で独立した絵画ではなく、言葉と複数の絵からなる博物図鑑として、ものごとの体系を表現するアイディアを得たのだ。観察対象は外界の自然物ではなく、「表立って語られることのないひそやかな人生の縮図」だった。」
このように作家が語る、制作初期の《毒花(どくばな)図鑑》や《日本花色考》には、花に託された思春期の心理が、図鑑のかたちで表現されている。やがて花のモチーフから離れ、箱型の団地の窓を扱う一連のシリーズが始動。自らが幼少期を過ごした団地の記憶を元に描いた《晒野団地四畳半詣(さらしのだんちよじょうはんもうで)》では、窓枠の奥に人々の気配が描かれる。そしてその後、窓のうちの居住者へ向けられていた作家の観察眼は、外へと向かう。図鑑や窓といった形式から脱し、日本各地への旅を重ねながらイメージを収集した現実の記録と過去の記憶がモチーフとなった《密愛村(みつあいむら)Ⅲ・Ⅳ》や《野火賊(のびぞく)》。ここでは、ロードムービーの一場面をみるかのように、今も街道沿いに遍在する歓楽施設の跡地などが再構築されている。同時に、学生時代の作家にも刺激を与えたという植物図鑑《フローラの神殿》を展覧する。本作には、28種の花々の堂々たる姿が描かれるとともに、他に類を見ない詩的な背景描写がなされ、19世紀における世界へのまなざしを見て取ることができる。
本展は、齋藤芽生作品(約100点)と、植物図鑑の至宝《フローラの神殿》(30点)を同時に展覧し、「図鑑」のように複数の絵画と言葉で社会を描く現代作家の魅力に迫る。

開催概要

  • 会期

    2019.10.122019.12.01
  • 会場

    目黒区美術館
    http://mmat.jp/
    目黒区目黒2-4-36 目黒区民センター内
  • 観覧料金

    一般800(600)円、大高生・65歳以上600(500)円、小中生以下無料

    ※障がい者手帳をお持ちの方とその付添の方1名は無料
    ※(  )内は20名以上の団体料金
    ※目黒区内在住、在勤、在学の方は、受付で証明書類をご提示頂くと団体料金
    ※各種割引の併用不可

    詳細は公式サイトへ

  • 主催

    公益財団法人目黒区芸術文化振興財団 目黒区美術館
  • 休館日

    月曜日(10月14日、11月4日は開館)、10月15日、11月5日

  • 開館時間

    10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
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